将棋の藤井聡太七冠(21)=棋聖・竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将=が前人未踏の8冠をかけ、永瀬拓矢王座(31)に挑戦する第71期王座戦五番勝負の第2局が12日、神戸市のホテルオークラ神戸で指された。
藤井七冠は8月31日の第1局で敗れ、シリーズは黒星発進。偉業達成に向けて落とせない大一番で初勝利を目指す。4連覇中の永瀬王座は勝てば、永世称号の名誉王座となる5連覇に王手をかける。
対局室には午前8時44分、永瀬王座が早々と入室。同46分、藤井七冠が姿を見せた。先手の永瀬王座が飛車先の歩を突き、藤井七冠はいつも通りお茶を一口飲んでから飛車先の歩を突いた。戦型は角換わりとなり、後手の藤井七冠は自身では異例の右玉に構えた。
午前中、藤井七冠が33分考えると6筋の歩を突いて仕掛け、6筋での攻防が展開。藤井七冠が52手目を考慮中、午後0時10分、昼食休憩に入った。藤井七冠は「神戸ポークと淡路玉葱の味噌炒め御膳」と「ウーロン茶」を注文。永瀬王座は「ビーフカレー」で、第1局の昼夜のメニューから一貫してカレーを選んだ。さらに「アイスカフェオレ」「オレンジフレッシュジュース」「ウーロン茶」とドリンク3種類、おやつの「メロンショート」とらしさ全開の大量注文となった。
対局は午後1時に再開された。藤井七冠が昼食休憩を挟んで52分の長考をし、互いに時間を使う。午後3時のおやつは藤井七冠が「ほうじ茶と栗のロールケーキ」と「アイスティー」を注文。永瀬王座が「アイスカフェオレ」「オレンジフレッシュジュース」「グレープフルーツフレッシュジュース」のドリンク3種類を注文した。
長いねじり合いが続き、激しい攻防戦へ。午後5時、永瀬王座の手番で夕食休憩に入った。夕食は藤井七冠が「五目焼きそば」と「ウーロン茶」、永瀬王座が「アメリカンクラブハウスサンドイッチ」と「オレンジフレッシュジュース」、「ウーロン茶」を注文した。
午後5時半に再開。午後7時過ぎ、100手目に達しても互角の戦いが続く。先に持ち時間を消費していた藤井七冠が敵陣に迫り、同8時15分、110手目を考慮中、1分将棋へ突入。続いて、同22分、永瀬王座も1分将棋に入った。秒読みの中、両者は前傾姿勢で攻め合い、形勢が揺れ動く。永瀬王座はどこか焦りの表情がにじみ、藤井七冠は盤上の駒の位置が乱れるほど、ギリギリの攻防。盤上には小さな虫が現れるハプニングもあった。
同9時過ぎ、藤井七冠が1筋の香を取って入玉。藤井七冠が永瀬玉を追い詰めていく一方、永瀬王座は入玉を目指す。同9時50分ごろ、200手に到達した。双方が1分将棋に入って1時間半以上。永瀬王座も入玉。死闘の末、同10時2分、藤井七冠が214手で勝利し、対戦成績1勝1敗とした。シリーズはタイに戻った。
シリーズはここまで後手番が勝利。第3局は27日に名古屋市で指され、どちらが勝ってもタイトル獲得に王手をかける。