171センチ。ヤクルト・小川泰弘投手(33)の公表されている身長だ。プロ野球という世界では、決して高いほうではない。もちろん、野球は体格を比べるスポーツではないが、体が大きければ出力は上がるのはたしか。小柄な体で大柄の人と同じだけの力を出そうと思えば、その分、体を鍛える必要があるし、体の使い方も工夫しなければならない。何より体への負荷が大きいわけで、故障せずに何年もプレーすることは本当に難しいことだ。
9月9日。小川が史上142人目、球団では6人目となる通算100勝を達成した。新人だった2013年4月3日の広島戦(マツダ)でプロ初登板勝利を挙げてから、250試合目で到達した節目の勝利。「野球は体格ではない。小柄でもプロの世界で活躍できる」。そう、プロ野球選手を目指す子供たちに勇気を与えた瞬間だった。
創価大時代は、エースとして東京新大学リーグで通算36勝3敗、防御率0・60と圧倒的な数字を残した。それでも、「『体が小さい』とかマイナスなことを言う人もいた」という。だからこそ、プロで活躍することへの思いも強くなった。
「プロ野球選手になって活躍していけば『小さくてもできる』ということを証明できるし、この世界に入ってきたときにこの身長で戦えることを証明したいと思っていたのも事実。そういう姿を子供たちに届けたいという気持ちはあるし、子供たちが感じてくれたらうれしいなと」
真摯(しんし)に野球と向き合ってきた。トレーニングもケアも投球フォームも、そのときに「良い」と感じたものを取り入れ、進化のために変化を恐れなかった。挑戦し続けてきたからこそ、わかったことも、見えてきたものもある。内なるパワーを最大限発揮するため、努力は欠かさなかった。