これから迎える夏本番を前に、季節外れの感染症に要注意だ。昨冬は2年ぶりにインフルエンザの流行が確認された。厚生労働省のまとめによると、5月末の1週間にも約5000の定点医療機関から7975人のインフルエンザ患者が報告され、流行の目安となる「1医療機関あたりの患者数1」を超える水準(1・62)が続く。流行が5月下旬まで続くのは10年ぶりのことだ。
伊藤博道院長東京都北区のいとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は「夏に流行するものだけでなく一般的に冬に流行するものも出てきている。診療していても感染症の図鑑を見ているような状況が続いています」と話す。これらは、体調管理や感染対策への意識が低くなったこと、コロナ禍で基礎免疫力が低下していることなどが原因として考えられるという。
5月下旬のインフルエンザ患者数加えて暑くなる夏場は、病原体となる細菌が増え、エアコン使用による寒暖差や猛暑による体力消耗などが起こりやすい。子供だけでなく、大人も免疫力が低下しやすい季節だ。夏場の体調管理について伊藤院長は「自分の免疫力を最大限に引き出す。それを第一に考えていただきたい」と説明する。
特に腸管で育てられる免疫細胞が重要で「鼻や口からはいってくるウイルス、細菌に対しても有効で、第一の防御をしてくれる」と伊藤院長。マスク着用も個人の判断に委ねられる今、〝体内マスク〟の役割を果たす免疫細胞が重要になる。
日々の中でできる対策として、伊藤院長は腸内の環境を整える乳酸菌・ヨーグルトや、ゴボウ、タマネギなどの繊維質の食材を推奨する。それに加え、細胞を作るのに必要なビタミンB、C、タンパク質を含む食品をとることが重要だという。伊藤院長は「生活環境、体内=腸内環境を整えることをまずやってほしい」と強調していた。