2回 オリックス・紅林弘太郎の打席で、捕逸となり生還する中川圭太。左はDeNA・トレバー・バウアー=京セラドーム大阪(撮影・沢野貴信) (日本生命セ・パ交流戦、オリックス2-4DeNA、初対戦、DeNA1勝、9日、京セラ)DeNAのトレバー・バウアー投手(32)が7回5安打2失点(自責点1)で3勝目を挙げた。サンケイスポーツ専属評論家の井口資仁氏(48)はバウアーの制球力を高く評価する一方、日本球界だからこそ直面した〝課題〟を指摘した。
バウアーの武器は制球力。4四球を与えたが、制球に苦しんでいたとは思えない。際どいコースを突いた球がボール判定となり球数は7回108球と増えたが、ここぞの場面で三振を奪う投球はさすがだった。
京セラドームのマウンドの土が硬い影響で高めに抜ける球も多かったが、その抜け球すらも利用していた。カットボールとスライダーを軸にカウントを整えて、高めの直球で空振りを奪う。球質がいいので打者は手が出るし、150キロ台後半の球はそうそう打たれない。相手打線の3巡目からは鋭く落ちるカーブを増やし、的を絞らせなかった。
見事な投球の一方で、監督目線では守備の対応は気になった。打者がバントの構えをしたときにマウンドを降りていなかった。失点につながった二回の捕逸(2死二塁から二走が生還)は、本塁のカバーに入っていれば二走は三塁で止まっていた可能性が高い。
隙のない走塁はある意味日本ならではの形で、相手からすれば足を使った攻撃は有効かもしれない。中嶋監督は五回までに3度盗塁(2度成功)を仕掛けていた。
バウアーは探求心が強く、吸収力が高いので、課題はいずれ克服するだろう。競った展開で足をすくわれなければ、勝ち星は増えるはずだ。(サンケイスポーツ専属評論家)