エンゼルス・大谷は3回に17号2ランを放って祝福される=アナハイム(USAトゥデー・ロイター=共同) 【アナハイム(米カリフォルニア州)9日(日本時間10日)=丹羽政善通信員】米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(28)はマリナーズ戦に「2番・投手兼DH」で先発し、17号2ランを含む3安打を放った。先発登板時に3安打以上を放つのは今季4度目で、1958年のウォーレン・スパーン(通算363勝)以来65年ぶりの記録。投げては5回3安打3失点で勝敗は付かなかった(5勝2敗のまま)が、チームは5-4で逃げ切って5連勝を飾った。
一回に被弾して失った2点を、自らのバットで取り返した。三回、大谷は右腕カスティーヨのチェンジアップをフルスイングで捉えた。フェンス越えを確信する一発にエンゼルスタジアムのファンは総立ちとなった。
「バッティングの方は良かったかな。チームが勝ったので、それが何よりです」
投打同時出場時で今季2本塁打目(通算7本)となる17号同点2ランは、中堅の芝生に飛び込む完璧な当たり。440フィート(約134メートル)は今季4番目の飛距離だった。ア・リーグトップ19本塁打のジャッジ(ヤンキース)は右足親指の靱帯損傷、大谷と並んで同2位のアルバレス(アストロズ)も右脇腹の違和感で負傷者リスト入りしており、初の本塁打王獲得へ前進するチャンスだ。
一回に内野安打で出塁し、五回には左翼へのライナーで快足を飛ばして二塁を陥れた。サイクル安打へのリーチは今季4度目。三塁打が出れば自身2度目の偉業達成となった七回1死二塁は一ゴロ。好機を生かせず、ヘルメットをたたいて悔しさをあらわにした。
それでも先発登板した試合での3安打以上は今季4度目。通算363勝を挙げた左投手、ウォーレン・スパーンが1958年に5度を記録して以来、65年ぶりだった。登板日の今季打率は・392(51打数20安打)、2本塁打。それでも数字には「たまたま」と興味を示さなかった。
5連勝に貢献し、チームはア・リーグ西地区2位のアストロズに1・5ゲーム差に接近。それでも大谷の表情がさえないのは、今季初の中6日で臨んだ投球に納得がいかないからだ。一回に先制2ランを浴びると、3―2の五回には2四死球が絡んで失点。6三振を奪って今季102奪三振とし、3年連続で100奪三振以上をマークしたが、今季最多タイの6四死球を与え、4試合続けて白星を逃した。
今季のチーム65試合目に13度目の登板。「一番悪いんじゃないかというぐらいの出来だった。体が動いていなかった。99マイル(約159・4キロ)が出た球もあるけど、全体的にヌルッとしたピッチングだった」と、もどかしい思いを明かした。
▼ウォーレン・スパーン(WarrenSpahn) 1921年4月23日生まれ。左腕として史上最多の363勝(245敗29セーブ)を挙げた。1940年にボストンブレーブス(現アトランタブレーブス)と契約し、42年にメジャーデビュー。MLBでの現役を引退する65年まで最多勝8度、最優秀防御率3度、最多奪三振4度など多くのタイトルに輝いた。打撃も良く通算363安打。73年、野球殿堂入り。75年には日本のプロ野球、広島の春季キャンプで臨時コーチを務めた。2003年、82歳で死去。大リーグでは優秀な成績を残した左投手に「ウォーレン・スパーン賞」が贈られる。