エンゼルス5-4マリナーズ(9日、アナハイム)米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(28)は「2番・投手兼DH」でフル出場し、三回に3戦ぶりとなる同点の17号2ランを中越えに運び、内野安打と二塁打も放ち4打数3安打2打点、1得点だった。メジャー自身2度目のサイクル安打こそ逃したが、打率を・282に上げた。投手では5回を投げ1本塁打を含む3安打3失点、6奪三振6四死球で勝敗は付かず、5勝2敗のまま。球数は97で、防御率は3・32。三回に4個目の三振を奪い、今季100奪三振に到達した。エンゼルスは逃げ切って5連勝とし、貯金を今季最多タイの5に増やした。
大谷が地元ファンを沸かせる特大のアーチをかけた。0-2の三回2死一塁の第2打席。先発右腕カスティーヨが投球間の時間制限「ピッチクロック」に違反して1ボールが加えられ、その後の真ん中内寄りの甘いチャンジアップを完璧に捉えた。高々と放物線を描いた打球がぐんぐん伸びて、中堅後方の芝生エリアまで届く同点2ランとなった。MLB公式サイトのデータ解析システム「スタットキャスト」によると、飛距離は440フィート(約134メートル)、打球速度は112・9マイル(約182キロ)を計測し、本塁打数リーグトップのヤンキース・ジャッジに2本差に迫る、2位タイに浮上した。大谷はゆっくりとダイヤモンドを一周し、生還後は両手を軽く合わせて控えめに喜んだ。
投手では今季ワーストに並ぶ6四死球と制球が乱れた大谷。「体が動いていなかった」として一、五回の四死球がいずれも失点につながり、4試合ぶりの勝ち星とはならなかった。
今季初となる中6日で登板した大谷の立ち上がり。「今シーズン一番悪いんじゃないかというぐらいの出来だった」という一回から1番クロフォードを四球で出塁させ、2番のJu・ロドリゲスには外角低めの「スイーパー」と呼ばれる大きく曲がるスライダーを振らせて三振。2死後、4番ケレニックに真ん中付近のスイーパーを右中間スタンドまで運ばれ、先制2ランを浴びた。さらに、後続2人をストレートの四球で歩かせ、2死一、二塁のピンチを招いたが、7番スアレスを内角速球で空振り三振に打ち取った。ただ、一回を投げ終えるのに31球も要し、大谷は首を振りながらベンチに戻った。
二回は先頭の8番フォードを落差のある内角カーブで見逃し三振、9番カバジェロは真ん中高めの速球で詰まらせて三ゴロ、クロフォードには真ん中付近のカットボールで三邪飛。3人とも異なる球種で打ち取り、三者凡退に抑えた。
三回は先頭のJu・ロドリゲスを外角低めいっぱいの96・6マイル(約155キロ)速球で見逃し三振。これで、3年連続でシーズン100奪三振に到達した。3番フランスには右前打を許すも、前の打席で本塁打を打たれたケレニックには外角低めのカットボールを振らせて三振。5番ヘルナンデスは外角低めの速球で押し込んで、右飛に打ち取った。
四回は先頭の6番ローリーを四球で歩かせ、スアレスには外角低めの速球を打ち返されるも、二塁ベース右後方にシフトしていた二塁手正面へのライナーでアウト。一走ローリーも戻れず併殺となった。続くフォードは内角低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。
四回に5番レンヒーフォの適時打で3-2と勝ち越して迎えた五回は先頭を四球で歩かせ、1死後、死球で一、二塁。フランスには内角高めのカットボールで詰まらせながら中前に運ばれ、同点適時打を許した。なお、1死一、三塁のピンチではケレニックを内角低めの速球で一ゴロ併殺打。勝ち越し点を許さなかったものの、大谷は自身に喝を入れるように、大きな声を上げた。球数が100球近くに達したため、この回限りで降板した。
大谷は登板を終えて「今日に関しては(本塁打を打たれた)スイーパーだけじゃなくて、真っすぐ自体がよくなかった」と振り返り、「5回投げられて、3失点で何とかチームが勝てたというのは、少しはいいところかなと思う」と胸をなでおろした。