声を張り上げて投球するバウアー。最速159キロの直球は威力が抜群で、山下との投げ合いを制した(撮影・榎本雅弘) これがサイ・ヤング賞右腕の実力!! DeNAの新助っ人、トレバー・バウアー投手(32)=前ドジャース=が9日、オリックス1回戦(京セラ)に先発し、7回5安打2失点(自責点1)で3勝目(2敗)を挙げた。米大リーグでサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)に輝いた実績を持つ超大物が、今季5勝負けなしだった3年目の山下舜平大(しゅんぺいた)投手(20)に投げ勝った。チームは4-2で逆転勝ちし、2連勝。セ・リーグ首位・阪神とのゲーム差を4・5に縮め、交流戦首位の座を守った。
右打席を経由して鋭く大きく弧を描いたナックルカーブはボールゾーンから曲がり、寸分の狂いなく外角低めに構えたミットに収まった。4―2の七回無死二塁。バウアーは左打者の茶野に対し、極上のバックドアと呼ばれる軌道のボールで見逃し三振を奪った。グラブと右拳をバンバンと合わせ、表情を一層引き締めると後続を断った。
「2試合ふがいない登板はあったが、その後は試合をつくることができ、一定の貢献はできていると思う」
7回108球を投げ、5安打2失点9奪三振で来日初めての2連勝。二回2死二塁から捕手とのサインミスによる捕逸で失点する場面があったが、要所でスイッチが入る球威と間違えない制球は、この日も健在だった。
7回2失点で3勝目を挙げ、山崎(中央)からウイニングボールを受け取ったDeNA・バウアー。左は三浦監督=京セラドーム貫禄を示した。新進気鋭の20歳、オリックス・山下との投げ合い。ともに最速159キロを計測し、マウンド上で火花を散らした。米大リーグ、レッズ時代の2020年にサイ・ヤング賞を獲得したバウアーは、ここまで5勝負けなしだった3年目の有望株にプロ初黒星をつけ、「非常にいい先発投手の投げ合いだった。(山下は)才能あふれる素晴らしい投手。願わくば、日本シリーズで彼と再戦することを楽しみにしている」と目を輝かせて、新たな才能を歓迎した。
185センチ、92キロと米大リーグの中で平均的な体格でトップクラスに位置し続けてきた。食事の摂取カロリーや栄養成分を記録し、厳格に制限。起床時には自ら左手の指から血液を採取し、疲労度やコンディションのレベルを確認する日課を誰よりも早く取り入れ、積み重ねてきた。