■6月6日 「人の噂も七十五日」とか。ガーシー(本名・東谷義和)容疑者が3月16日の参院本会議で除名になってからその日数がたった。人々の記憶から遠のき、「一生日本に帰らない」ともいうガーシーの「ガ」の字も聞くことはないだろうと思っていたら、4日に突然帰国し逮捕された。噂の賞味期限は過ぎても相変わらず人騒がせな御仁だ。
昨年7月の参院選比例代表では約28万票を獲得し旧NHK党から初当選した。「国会にはハリセン持っていく。国会で寝ているおっさんを叩き起こす」と豪語していたのが、何のことはない。再三の呼び出しにもかかわらず、国会には1度も姿を見せなかった。
それでも8カ月で歳費など計2000万円が支払われた。「国会を愚弄したとんでもないやつ」と国民の怒りはそこに集約された感じで、考えてみたら何で逮捕されたかよくわからないという人も多い。動画投稿サイト「ユーチューブ」で芸能人らを常習的に恐喝した容疑というが、具体性は感じられない。
孤高の画家ゴーギャンの『我々はどこから来たか 我々は何者か 我々はどこに行くのか』という名画のタイトルを思い出す。「我々」をガーシー容疑者に置き換えたらピッタリくる。彗星の如く議員になったはいいが、そもそも何をしたかったのか。強気な態度の一方で親族宅の家宅捜索では「オカンだけは勘弁して」と涙ながらに訴えた。思うに一体この人は何者なのか。
旧NHK党の立花孝志氏は、実刑判決などで公民権停止にならなければ「国会議員に再挑戦してもらいたい」と語った。行く先はまたそこかと思うが、もしそうなったら有権者には良識ある選択をしてほしいと願うばかりだ。(今村忠)