広島が勝利を飾った5月26日のヤクルト7回戦(マツダ)。午後6時の試合開始前に〝事件〟が起こった。ビジターチームが使う三塁ベンチ裏に黒い服を着た男が侵入。ヤクルト側が騒然となった。
「君は誰だ!?」
不審者に気付いたヤクルトの関係者の数名がそう問いかけると、黒い服の男は「○○会社の○○○や!!」と悪びれる様子もなく即答。黒い服の男の発言がウソかホントかハッキリしないため、警備員の到着を待っていると、その男はその場から姿を消した。
すぐに警備員が三塁側に到着、数分後には広島県警が出動する事態に発展したが、約30分後に黒い服の男が敷地内にいるところを見つけ、身柄を確保した。関係者の話によると、1階にある警備員の控室での聞き取り際に黒い服の男は「野球観戦で来た。迷っていただけ」と主張。一方、警備側は「(立ち入り禁止のエリアに)入ってはいけない」と厳しく注意したが、悪質性は低いと判断して解放となったようである。
黒い服の男は、試合開始前の人の出入りが多くなるタイミングでどこからか入り込んだ。1階の通路を堂々と歩き、グッズショップ裏にあるエントランスロビーや倉庫、そしてその奥の仕切りを開け、三塁ベンチ裏から選手に近づこうとしたが、すぐに見つかり、厳重注意を受けることになった。
マツダスタジアムは翌27日のヤクルト2戦目から再発防止に向けた取り組みを強化した。関係者の出入口付近の警備員を増員し、入場許可を受けたマスコミなどが首からぶら下げるパスの確認を徹底。巡回を増やすなどして施設内の警戒に当たっている。
各チームはコロナ禍が収束に向かいつつある現状を鑑み、サインなどのファンサービスを再開している。選手とファンの距離が再び近づきつつある今、推しのチームや選手が気持ちよくプレーできるように、ときには一歩下がって応援することも大切である。(柏村翔)