【将棋ヒューリック杯棋聖戦第1局】一手目を指す藤井聡太棋聖。右は佐々木大地七段=5日午前、ベトナム・ダナンのダナン三日月(恵守乾撮影)
ギャラリーページで見る将棋の藤井聡太棋聖(20)=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将との7冠=に佐々木大地七段(28)が挑戦する第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催、ヒューリック特別協賛)の第1局が5日、ベトナム・ダナンの「ダナン三日月」で指された。
藤井棋聖は今月1日に名人戦七番勝負を制して史上最年少名人と7冠を獲得後初の公式戦で、自身初の海外対局。2020年7月に初タイトルを獲得した棋聖位の4連覇を目指す。佐々木七段はタイトル戦初登場で、棋聖戦と7月に開幕する王位戦七番勝負と合わせてダブルで藤井棋聖に挑戦し初タイトルを目指す。
ダナンの天候は晴れ、気温33度。対局室には現地時間午前8時40分ごろ、佐々木七段、同48分ごろ、藤井棋聖が姿を見せた。
その後、産経新聞社の飯塚浩彦会長(65)が先後を決める振り駒を行い、歩が4枚出て藤井棋聖が先手番となった。
藤井棋聖はいつも通りお茶を一口飲んでから、▲2六歩、佐々木七段は間髪入れずに△8四歩。角交換を行い、戦型は角換わりになった。
午前10時のおやつはベトナムスイーツ。藤井棋聖は、日本でも有名なベトナム風ぜんざいでフルーツと豆の「チェー」を注文した。飲み物はオレンジジュース。佐々木七段はベトナムの伝統的な餅菓子「バンヤロン」。飲み物は炭酸水(ライムと砂糖添え)を選んだ。藤井棋聖は初手を指す前にお茶を飲むのがルーティンだが、ホテルによると、対局室に準備したお茶は日本茶という。現地で試食した関係者は「チェーは甘みと酸味があって食べやすい。バンヤロンは豆の風味があり、食べ応えがある」と語った。
午前まで65手まで進むハイペース。現地時間正午から昼食休憩に入った。昼食は藤井棋聖、佐々木七段ともに、ベトナム全土で食べられているチキンライス「コムガー」を注文。鳥のスープでご飯を炊き、チキンはタレやターメリックで味付けしている。飲み物は藤井棋聖がマンゴースムージー、佐々木七段は炭酸水(ライムと砂糖添え)を選んだ。
午後はじっくりした展開。佐々木七段が昼食休憩を挟んで47分長考。藤井棋聖は68分の長考に沈んだ。相手玉に迫り、難解な局面。午後3時のおやつは、藤井棋聖が「バンヤロン」、佐々木七段が「チェー」を注文。午前にそれぞれが食べたもので〝おやつ換わり〟となった。「チェー」は2種類が用意され、藤井棋聖が午前に「フルーツと豆」を選んだのに対し、佐々木七段は「バナナとココナッツ」だった。飲み物は藤井棋聖がパイナップルジュース、佐々木七段はアイスブラックコーヒー。
藤井棋聖が攻め、佐々木七段が受けに回る展開。佐々木七段は持ち時間が切迫して1分将棋になる中、粘りを見せたが、藤井棋聖が的確に対応。現地時間午後7時前、佐々木七段が投了。藤井棋聖が113手で先勝し、4連覇へ好発進した。