2019年5月23日のヤクルト戦でサヨナラ打を放った阪神・糸原健斗 1992年11月生まれの阪神・糸原健斗は今年で31歳になる。92年3月生まれの原口文仁は31歳シーズンに突入した。「老け込むトシではない」と言うのは簡単。この世界の年齢は、周囲の環境が決める。若手が伸び悩んでいれば『まだまだ』。若い戦力の台頭が目立てば『そろそろ』。昨年秋、指揮官の座に復帰した岡田彰布監督は「伸びしろ」「見極め」というフレーズをよく使っていた。2人とも開幕メンバーに入った。立ち位置は左右の代打の切り札だった。開幕3連勝発進を飾ったDeNA戦(京セラ)では存在感を示した。しかし交流戦を前に姿を消した。両者とも安打数は2。周りの顔ぶれを見れば安泰ではない。会社なら大卒で入社10年も経っていない三十路コンビが、プロ野球人生の節目に直面し、2軍で汗を流している。
プロ2年目で初の1軍昇格となった阪神・前川右京「原口と糸原はあんまりもな。結果が出ていないし、エエ期間やしな。ピッチャーの代打のところもないし、ファームも試合があるから、打席に立たそうかなあと思って。最初からそう思っとったんよ」
交流戦開幕前日の5月29日、岡田監督は入れ替えの趣旨を説明した。代わって昇格したのは、例えば北條史也とか高山俊なら、どってことない。ハタチの前川右京と19歳の中川勇斗のプロ2年生コンビ。前川は2試合でスタメン起用された。中川はブルペンで1軍投手のボールを受けている。貯金がある余裕も重なり、年齢差約10の入れ替えが実現した。
2人とも順調なスタートを切ったはずだった。4月1日の開幕第2戦の延長十二回2死、代打で登場したのが糸原だった。守護神・山崎からの右前打を機に四球、左前打で満塁とし、近本の中前打でサヨナラ勝ち。今季何度もある「2死無走者」からの得点第1号だった。