18番をナイスパーで優勝を決めた金谷は右手を掲げたが、硬い表情。理由があった(撮影・長尾みなみ) BMW日本ツアー選手権森ビル杯最終日(4日、茨城・宍戸ヒルズCC西C=7430ヤード、パー71)第3ラウンド(R)の残りと最終Rが行われ、金谷拓実(25)=Yogibo=が最終Rを2バーディー、2ボギーの71で回り、通算11アンダーで国内メジャー初優勝。初日から首位を譲らない完全Vで、約2年ぶりのツアー通算4勝目(アマチュア時代の1勝を含む)を挙げた。優勝インタビューでは、昨夏に母・美也子さんの乳がんが発覚していたことを告白。病気と闘う母を励ます最高の結果を届けた。
2015年7月の「日本アマ」を制したときの金谷と母・美也子さん(左)金谷の闘志が奮い立った。1打リードでの17番(パー4)、深い左ラフからの2打目は、大きな池を越え、195ヤード先のピン奥50センチにピタリ。6番アイアンでの攻撃的なショットでバーディーを奪い、勝負を決めた。
「キャディーさんはレイアップ(手前に刻む作戦)も考えていたが、今週のテーマは積極的なプレーをすること。1打リードだったが、守り抜こうと思ったら最後までいけない。自分らしいプレーを心がけた」
第3Rの残りと合わせ、1日で26ホールの長丁場。最終Rは2打差の首位から出たが、難しいセッティングに苦しんだ。前半は1バーディー。13番でこの日初のボギーをたたくと、15番(パー5)ではティーショットを大きく左に曲げてボギー。同組の中島啓太と宋永漢に並ばれた。だが続く16番(パー3)を2人がボギーとし、再び単独首位で向かったのが最難関の17番。「諦めずに戦うスピリットを持てていた。強い気持ちで17番も打てた」。魂のこもった一打だった。