七回、梅野は1号ソロで才木に貴重な2点目をプレゼントした (日本生命セ・パ交流戦、阪神2-0ロッテ、2回戦、阪神2勝、4日、甲子園)白球が美しい弧を描き、左翼スタンドに吸い込まれる。難敵をマウンドから下ろし、代わったばかりの投手を撃った。大きな大きな今季1号に、阪神・梅野はベンチに向かって右手を掲げた。
「投手が代わって、何とかチャンスをという部分で。1点じゃなかなか、頑張ってしのぐと言ってもきついので。そういう意味では、思いもよらぬ、最高な1点になって良かった」
1-0で迎えた七回。ロッテは佐々木朗を下げ、2番手・八木を送り込む。先頭で打席に立ち149キロ直球をファーストスイングで捉えた。「最高の当たり。最高に気持ちよかった」。勝利をグッと近づけた価値ある一発に、岡田監督は「大きかった。大きかった」と目を細めた。
「自分が打ったことよりも、投手戦になると予測して、才木をどれだけ引っ張れるかだけを考えてやっていた。きょうみたいな投球がベストだなと思います」
試合後は自らの一打より、力投した才木をたたえる。交流戦でも、守り勝つ-。そのために、「投手の持ち味を引き出す試合を続けていく」と心に決めた。この日も1巡目は才木が誇る一番の武器である力強い真っすぐを要求し、フライアウトを量産した。「押し込めたのが一番の要因。才木らしい投球をイメージ通りできた」。難敵相手に一歩も引かず、バッテリーで守り勝ったことが誇らしかった。
「ここで勝ちを挙げたら自信がつくだろうなと思って。勝てて、こうやって才木が喜んで。そういう表情を見られるのが僕も本当にうれしい」
そろって上がったお立ち台でも、笑顔の才木を引き立てる。縁の下で支える女房役としての姿があった。(原田遼太郎)