延長十回にサヨナラ打を放った岡本和(中央)のもとに駆け寄る巨人ナイン(撮影・斎藤浩一) (日本生命セ・パ交流戦、巨人3x-2日本ハム=延長十回、2回戦、1勝1敗、3日、東京D)頼れる主将は思いがけずあおむけになった。割れんばかりの喝采が頭上から降り注ぐ。試合を決めた巨人・岡本和真内野手(26)は、ナインにもみくちゃにされた。
「最高です。気付いたら地面に倒れていて…」
2-2の延長十回。左前打で出塁した先頭の重信と同様に初球を捉えた。内角の直球を引っ張った打球は左翼線へ。自身が二塁を陥れる間に、重信が一気に一塁から生還した。2球でのサヨナラ劇に「重さんが速すぎました」と驚嘆した。
前夜は好機で空振り三振に倒れるなど3打数無安打。この日は八回の4打席目に左前打を放つまで快音がなかった。原監督は「昨日も含めてフラストレーションはあったと思う。ベンチでカッカしていたしね」と明かす。
延長10回、サヨナラ適時打を放った巨人・岡本和真=東京ドーム(撮影・加藤圭祐)主砲を突き動かしたのは7回1失点と力投したグリフィンだ。左腕は同点の七回にスクイズを試みた相手の小飛球を飛び込んで捕ろうとした。助っ人の雄姿に「何とかしてあげたい」と奮い立った岡本和は、1点リードの九回に追いつかれた守護神の大勢も救った。
日本の世界一に貢献したWBCでは、ダルビッシュ(パドレス)の姿を目に焼き付けた。百戦錬磨の36歳は若手に惜しみなく経験を伝え、侍戦士の和をつくり上げた。「カバーし合うのがチーム。明日につながった」と岡本和。世界でもまれた26歳のチームリーダーは力強く言った。(鈴木智紘)