延長十一回、佐藤輝は先頭で右前打。サヨナラ機をお膳立てした (日本生命セ・パ交流戦、阪神6x-5ロッテ、1回戦、阪神1勝、3日、甲子園)歓喜の目前でまくられた。それでも、最後は差し返した。勝利をもたらす〝ライン〟の先頭に立ち、佐藤輝が奇跡のサヨナラをお膳立てだ。
「(前の打席まで)やられていたので。同じ攻めでやられるのはアレだった。浮いてきた球をしっかり打ててよかったです」
5-5で迎えた延長十一回。先頭で第5打席に立った。カウント1-1から広畑の135キロスプリットに食らいつく。ダイビングキャッチを試みた二塁・中村奨の横を抜け、白球は右前に弾んだ。梅野との連打で三進すると、最後は小幡の一打でサヨナラのホームへ。ウオーターシャワーの輪に加わり「よかったっす」と声を弾ませた。
最高の瞬間を導いた2試合ぶりの安打は、〝令和の怪物〟との一戦を控えた虎の大砲にとって吉兆の一打だ。4日のロッテ先発は佐々木朗。球界最高峰の速球派投手との対戦に、佐藤輝は「しっかり積極的に振るしかない。見て、見てだとあっという間に三振してしまう」と、ゴールへの道筋を描いていた。
初対戦となった2021年5月27日のロッテ戦(甲子園)では152キロ直球を捉えて、左前適時打。同年、東京五輪期間中のエキシビションマッチでは左翼へホームランも放った。白球をかっ飛ばし、難敵に土をつけるイメージはもちろんできている。
「頑張ります!」
佐藤輝vs佐々木朗-。注目のレースはもうすぐ号砲だ。虎が誇る令和の怪物は甲子園という〝バンク〟を疾走し、今度は自ら、勝利のゴールラインを通過する。(原田遼太郎)