穏やかな表情でファンとタッチを交わすバウアー(撮影・田村亮介) 3日の西武戦(横浜)で1カ月ぶりの白星を挙げたDeNAのトレバー・バウアー投手(32)を米大リーグ時代から長く取材する本紙の丹羽政善通信員(55)が解説。バウアー本人の証言を交えて、日本では誤解されて伝わっていることも多いサイ・ヤング賞右腕の知られざる「真実」や「素顔」に迫った。
★なぜ、プロ入りから2年後にトレードされた?
バウアーは2011年のドラフト時、「マリナーズが2位で指名したいと打診してきたが、独自のトレーニングを続けたいと言ったら見送った」と明かした。希望を容認してくれたダイヤモンドバックスから1巡目(全体3位)指名を受け入団したが、理解者だったスカウト&育成部門副社長のジェリー・ディポト氏(現マリナーズ編成部門社長)が1年後にエンゼルスのゼネラルマネジャー(GM)に転身。バウアーは「ダイヤモンドバックスは(独自の練習を)認めてくれるという話だったのに…」とほごにされて移籍が避けられなくなり、12年オフにインディアンス(現ガーディアンズ)へトレードされた。
【プロ野球中日対DeNA】
練習前に動画を撮影するDeNA・トレバー・バウアー=バンテリンドーム(撮影・宮沢宗士郎)★Youtubeでの動画配信に熱心な理由は?
小学生の頃、あるトレーニング施設で通算165勝左腕のバリー・ジト(2002年にアスレチックスでサイ・ヤング賞を受賞)と交流したことが原点。「あのとき、ジトにいろいろ聞いたら、ちゃんと答えてくれた。以来、子供たちにとって、自分もそういう存在になりたいと思うようになった」とSNSなどを通して自身の投球理論などを伝えている。
★なぜ、バイオメカニクス(生体力学)を重視する?
メジャー1年目のシーズン後、股関節と腰に違和感を覚え、独自にフォームの見直しを開始。米スタンフォード大へ出向いて動作解析を行い、バイオメカニストのボブ・キーイエス氏にも分析を依頼。上半身を一塁側に傾けて投げていたフォームを修正した。プロで長く投げるためのフォームを習得して以降も、シーズン後にキーイエス氏に動作解析を依頼している。
★投球練習のこだわりは?