監督通算600勝の表彰を受けた岡田監督。もちろん、通過点。アレまで突っ走ってください! (日本生命セ・パ交流戦、阪神6x-5ロッテ、1回戦、阪神1勝、3日、甲子園)まくってまくって、一気にトップ選手まで駆け上がった男が甲子園にやってきた。ロッテ戦で競輪の古性優作選手が始球式を務めた。
整理部長の矢田雅邦はテレビに張り付き〝あのとき〟の手のひらの感触を思い出しながら画面を見つめた。大阪市出身の古性選手は、まだ若かった2016年頃に大阪・難波のサンスポ編集局へ来社してくれたことがあった。S級の一般レーサーという立場だったが、競輪転身前のBMXでの華麗なる経歴(全日本選手権ジュニア部門で3年連続優勝し、五輪も目指したほどの実力)に注目していた矢田は、当時から大きな期待を寄せていた。がっちり握手をして「応援してます!!」とエールを送った。
矢田の熱が伝わったのか、古性選手はその後の「岸和田キング争覇戦」でGⅢ初優勝を飾る。21年には、8月にいわき平で開催された「オールスター競輪」でGⅠを初制覇し、年末の「KEIRINグランプリ」も圧巻のまくりで制して同年の賞金王に輝いた。以降の活躍は枚挙にいとまがないほどで、今をときめくスターとなった。
ワイルドな走りを強みとする男のワイルドな投球に、取材へ走った虎番の邨田直人は「競輪選手は足の筋肉がすごい、というイメージを持っていましたが、間近で取材してみると足だけじゃなく上半身もムキムキで、この肉体が激走を生むのかと納得する力強さでした!」と圧倒されていた。矢田は「僕の握手の効果もあったかもしれんけど、古性クンもトップレーサーの脇本雄太に〝ちぎれ〟てしまったり、そういう経験があって強くなっていったんや」と用語を交え力説する。