初の9回完封勝利を達成した阪神・才木浩人=西宮市・甲子園球場(撮影・林俊志) (日本生命セ・パ交流戦、阪神2ー0ロッテ、2回戦、阪神2勝、4日、甲子園)阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(54)は阪神・才木浩人投手(24)を絶賛。ロッテ・佐々木朗希投手(21)に〝土〟をつけた打線の姿勢にも高い評価を与えた。
見応えのある投手戦だった。相手の好投に引っ張られて、いい投球ができるケースがある。才木にも言えるのではないか。「見栄え」という点では、真っすぐの球速で10キロ以上も上回る佐々木朗に劣ったが、スピンの効いた球をドンドン投げ込んだ。立ち上がりの一回の3つのポップフライを見て、相当な回転数の球を投げていることが伝わってきた。制球も良く、早めに追い込んで、フォークが有効だったし、中盤から使い始めたカーブがアクセントになって打者を苦しめた。打者からすれば追い込まれる前に、早いカウントから打って出たのだが、1球で打ち取られるケースも多かった。球数の少なさにつながったことも完封できた要因だ。
阪神はチームとして、佐々木朗を攻略したとは言えないが、ワンチャンスを生かして黒星を付けたことは自信になったはず。各打者が追い込まれても粘れるようになってきている。その結果、佐々木朗の球数が増え、六回での交代に追い込んだ。攻略するのが困難な投手をマウンドから降ろすのかも、対策の一つ。待球すると、佐々木朗のような制球のいい投手はどんどんストライクを投げ込んでくるが、追い込まれての粘りは「待球」ではない。チームの成長を感じる。
13日からのオリックス3連戦では、「もう一人の日本最高の投手」山本との対戦が待っている。ここで黒星を付けるような展開になれば、チームの加速はさらにつくだろう。