福部は1着の表示が4位に訂正されて世界選手権代表を決められず、大粒の涙を流した(撮影・渡辺大樹) 陸上・日本選手権第3日(3日、大阪・ヤンマースタジアム長居)女子100メートル障害決勝は寺田明日香(33)=ジャパンクリエイト=が12秒95で2年ぶり5度目の優勝。世界選手権の参加標準記録を突破している福部真子(27)=日本建設工業=は4位で、今大会での代表決定はならなかった。
4人が横一線でなだれ込むようにゴールした女子100メートル障害。頂点に立ったのは寺田だった。2位の青木益未とは同タイムながら、写真判定で1000分の7秒差の勝利。33歳の〝ママさんハードラー〟は「まだまだ若い子には負けられない。一番になるのは大きいので、そこは評価できる」と胸を張った。
ゴール前で競り合う寺田(右)と福部(撮影・渡辺大樹)初優勝したのは18歳だった2008年。その後に引退、出産、7人制ラグビーへの転向を経て、復帰した19年に日本女子で初めて12秒台をマークした。21年東京五輪では準決勝まで進んだが「12秒6台がさらっと出るぐらいな感じでパリを迎えたい」と、来年の五輪を集大成と見据える。
レース後のアクシデントでは第一人者として苦言を呈した。会場の大型ビジョンで1位が福部真子と速報された。福部は世界選手権の参加標準記録を突破済みのため、3位以内で代表に決まる。しかし、確定結果は4位に訂正されて号泣。寺田は「人生が左右されること。しっかり見て判断してほしい」と6歳下のライバルを思いやった。
福部は「結果は結果。プレッシャーに勝てなかった」と潔く負けを認めた。日本陸連は「着順判定中の記録が出力されてしまったため、正式な着順とは違うものが一時表示された」と説明した。
◆女子100メートル障害で1位と同タイム(着差あり)の2位に入った青木益未 「すごい緊張感の中で12秒台で走れてもう少しで優勝というのは、ちょっとよかったかな」