G7広島サミットで記念撮影に臨む(左から)ドイツのショルツ首相、バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相、英国のスナク首相、EUのミシェル大統領=21日午前、広島市(代表撮影) 今月19~21日、広島で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催された。G7首脳のみならずインドなど新興国のリーダー、そしてウクライナのゼレンスキー大統領(45)も参加して大きな注目を集めた。パフォーマンス心理学の国内第一人者でハリウッド大学院大の佐藤綾子教授が各界著名人・トップリーダーの「伝える力」を分析する連載第11回は、G7サミットでのリーダーたちのアピール力を徹底比較する。
①対面のインパクト
「Seeing is believing」という英語のことわざがある。日本語では「百聞は一見にしかず」。リアルの大切さを示すこの言葉同様、今回は「来ることに意義がある」ということを見せつけた。大勢のトップがそろうだけで、インパクトがある。
②登場もステージ
メンバー中最高齢のバイデン米大統領(80)が大統領専用機のタラップを降りるとき、世界中が注目した。足元に注意してゆっくりとした足取りながらも、背筋は伸ばしていた。ここが大事。猫背で足元を見て降りると、老けてみえる。「自分の見せ方」に相当な注意を払っている。
ゼレンスキー氏は周囲のフォーマルな服装とは対照的に、いつもの軍服のようなジャージーとズボン姿で現れた。どんな言葉より「戦う大統領」を印象付けたはず。
ビジネスパーソンも、会議では「登場からが仕事」と心得よう。高価な服より、どんな姿勢や動作をするのかが大事だ。
③細部は語る
広島カープの赤い靴下をチラリと見せた英国のスナク首相(43)。いかに親密感や敬意を伝えるかを熟知している。相手に合わせた小物は、すぐ使える手法だ。
岸田文雄首相(65)はあいさつ時、テーブルのメモをちらちら見るのが「ノイズ」になった。「ノイズ」は、スピーチの効果を邪魔する要素のこと。机の下で細かく両手の指を組み替える動作も見られた。これもノイズ。落ち着かない印象を与えてしまう。