加藤豪が三回、日本初アーチ。五回にも再び本塁打を放ち、2打席連発の活躍だった(撮影・三浦幸太郎) 日本ハムは31日、ヤクルト2回戦(エスコン)に5-2で快勝。「5番・二塁」で先発出場したドラフト3位・加藤豪将(ごうすけ)内野手(28)=メッツ3A=が三回にプロ初本塁打をマークすると、五回にも2打席連続のソロを放った。脇腹のけがで出遅れ、25日にようやく1軍昇格したルーキーが米マイナーで通算55本塁打の長打力を発揮。チームは2連勝で交流戦単独首位に立った。
無心でバットを振り抜いた。加藤豪が人生初の2打席連続本塁打。米国にはないお立ち台に初めて上がり、2万4973人の観衆を前に英語交じりで声を弾ませた。
「フィールドでこんなに緊張したことはない。いろんな人が協力してくれたからここにいる。本当に幸せです」
脇腹のけがで出遅れ、25日に1軍昇格したばかりのルーキーが米マイナー通算55発の長打力を発揮した。2―1の三回。フルカウントから市川の137キロの直球を捉えた。右中間席最前列へ飛び込むNPB1号を放ち「チームに流れを持ってくる打撃をしたいと思っていた」とクールに振り返った。
勢いは止まらない。五回はカウント1-1から市川のスライダーを一閃。再び右中間席最前列へ運び「まさか2打席連続で打てるとは思わなかった」と目を丸くした。米国に住んでいた幼少期、日本ハムの試合がテレビで見られ、不思議な縁に導かれるように入団した。ドラフトで強行指名した新庄監督は自身を指差し「加藤豪将君のスカウトは誰だっけ? ハハハ」とご満悦。「何かスカウトになった気分。うれしい」と白い歯をこぼした。
五回にも本塁打を放った加藤豪は笑顔でポーズをつくった学生時代の好きな教科は物理。米大リーグ、アストロズなどが提唱する「背骨とバットが90度だとコンタクト率が高い」という理論を取り入れ、バットを左肩に乗せて構える理論派だ。試合中には打撃フォームを修正した。右横手投げの市川に対し、一回に二ゴロに倒れると「タイミングが合わなかったので工夫した」と2打席目以降はそれまで上げていた右足を下ろし、ノーステップ打法に変更。「(以降は)タイミングが合った」とエンゼルス・大谷も採用する打法に変え、快音を響かせた。
チームは2連勝。まだ2試合消化ながら、交流戦単独首位となった。今季初の3タテへ「(1日の先発が加藤貴で)『加藤で勝とう』なので勝ちに行きます」と加藤豪。〝逆輸入ルーキー〟が米国で培ったパワーを北海道のファンに見せつけた。(加藤次郎)