五回、けん制で帰塁したときに渡部と交錯した阪神・近本(撮影・安部光翁) (日本生命セ・パ交流戦、西武4ー0阪神、2回戦、1勝1敗、31日、ベルーナD)体重115キロに吹っ飛ばされても、71キロの阪神・近本はド根性で立ち上がった。連勝は9でストップしたが、これぐらいの衝撃で動じるほど、虎は弱くない。ベルーナドーム名物の階段を駆け上がり、バスへと向かった選手会長は前向きだった。
「まあ、変に気にすること(連勝)もなくなったと思うので、明日からも楽にいけるんじゃないですかね」
全国の虎党がヒヤリとしたシーンがあった。五回2死で迎えた第3打席。四球で出塁した近本がアクシデントに襲われる。けん制球に帰塁した際に西武の巨漢一塁手・渡部と交錯。捕球し損ねた球を拾いにいこうと、体を反転した渡部の膝と近本の首がぶつかった。
グラウンドに倒れ込んだ近本を見て、ベルーナドーム、そしてテレビの前の虎党が悲鳴をあげた。それでも、苦悶(くもん)の表情を浮かべて立ち上がった。さらに、心配をかき消すように走った。直後にセ・リーグトップの7盗塁目を成功。患部の状態については「(明日)起きてからしか分からないと思いますけど、まあ、大丈夫。大丈夫、大丈夫」と問題なしを強調した。
打線は再三の好機を生かせず、今季4度目の零封負け。ただ、リードオフマンは元気いっぱいだった。一回先頭では本田の142キロを捉えて右越えの二塁打。4試合連続安打でチャンスメークすると、七回1死二塁の場面は遊撃へのゴロに再び全力疾走。源田の〝たまらん守備〟をかいくぐり、内野安打で2試合連続、チーム唯一のマルチ安打と気を吐いた。
「でも、走者がいるところで打てなかった。もうちょっと冷静になった方がよかったかな。狙っていたからこそ、(打ちに)いっちゃったという感じ。難しいね。そういう余裕も、持てた方がよかった」