北朝鮮からミサイルが発射されたことを伝えるテレビニュース=31日午前 ■6月1日 かのベーブ・ルースは1932年のワールドシリーズのカブス戦で「あそこに打つ」と、右中間スタンドを指さしてその通りホームランを打ったとか。大谷なら再現できるかもしれないこんな「予告弾」なら拍手喝采だが、北朝鮮が5月31日早朝に打ち上げたミサイルだか人工衛星だかよくわからない「予告弾」には困ったものだ。
北朝鮮は「5月31日午前0時から6月11日午前0時まで」を打ち上げ期間として、軍事偵察衛星を発射すると日本に通告していた。その予告通り、いきなり31日午前6時27分に発射したが、エンジンに異常が発生し推進力を失って墜落した、と北朝鮮メディアが伝えたという。
衛星と主張しても、弾道ミサイル技術による発射は国連の安保理決議違反になる。それでも北朝鮮は意に介さず可及的速やかに2回目の発射を目指すとか。飢えた国民を尻目に次々と飽くことなく発射するミサイルは1発で3億~4億円吹っ飛ぶというが、あのお方が南の方を指さし「あそこまで飛ばせ」とハッパを掛けているのか。
今回は沖縄県を対象にJアラートが発信された。「頑丈な建物や地下に避難してください」というものの、これほど空疎な警報はないといつも思う。頑丈な建物や地下に逃げ込むまで一体どれだけの時間がかかるのか。都会でさえそうなのに沖縄ではよけいだろう。恐怖心をあおるだけで現実離れしている。
「発射実験なのにいちいち鳴らすな」との声も聞く。今回は予告されていたため速やかに発信されたが、もともと避難の方法もなく間に合うとも思えない。現実に即すなら警報は「発射されました。運を天に任せてください」との文言しかなさそうだ。(今村忠)