W杯フランス大会での日本の活躍を期待し、歌舞伎座で語り合った清宮氏(右)と児太郎。2人が手にしているのはW杯日本大会の公式マスコットで、現在は日本協会マスコットの「レンジー」(撮影・福島範和) ラグビーの2023年W杯フランス大会は9月8日の開幕まで、31日で100日。日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(55)と、サンケイスポーツでコラム「ラグビー魂」を連載中の歌舞伎俳優、中村児太郎(29)の対談が実現した。旧知の仲でもある両氏が4年ぶりに再会。W杯で初の4強入りを狙う日本代表について熱く語り合い、清宮氏は昨秋の戦いを教訓に挙げた。(取材構成・石井文敏、高橋朝香)
清宮氏 「会うのはあの時(サンケイスポーツで対談した2019年3月)以来ですね」
児太郎 「そうですね。今日はよろしくお願いします。早速ですが、東京ベイが初優勝した今季のリーグワンは数試合、会場で観戦しました。特にトップ4は世界的な選手が多く、質の高さを感じました。日本代表のレベルアップにつながりましたか」
清宮氏 「あ、そういうプレーをしていいんだという気付きにはなったと思う。例えば横浜の南アフリカ代表SHデクラークは、チームでは決めていないこと(密集でパスをせず自分で持ち出すなど)を時折して」
児太郎 「平気でしますもんね(笑)」
清宮氏 「競技レベルが下がると、決めたことしかできないし、やらない。そうなると想定通りの結果にしかならない」
児太郎 「日本は(南アから金星を挙げた)15年、(初の8強入りを遂げた)19年大会でいい結果が出て、少しずつステップアップしているイメージです」
清宮氏 「前回大会はリアクション(素早い反応)でトライを取れたら、それが日本のスタイルだと海外の人たちが評価してくれた。形だけではなく、個人のスキルを発揮した。そんなことするの?といったプレーをした。一つレベルが上がった大会だった」
児太郎 「今回はどうですか」
清宮氏 「決勝トーナメント(8強入り)に進まないと誰も評価しない。チームとしては成熟してきているし、チャンスだと思う」
児太郎 「日本は今、かなりレベルが高いですよね」
清宮氏 「上がり切ってしまったら、組織として決めたことから逸脱したプレーが試合を動かすし、得点につながる」
児太郎 「はい」
清宮氏 「でも、思い出してほしいのは昨年11月に敵地で戦ったイングランド戦。日本と対戦するときはそうやって攻めなさいよ、という点を見事に突いていた」