■5月31日 岸田文雄首相が首相公邸内での不適切な行動を批判された長男の翔太郎首相秘書官を、6月1日付で交代させると発表した。首相は2月に同性婚、性的少数者をめぐり「隣に住んでいるのも嫌だ」と発言した荒井勝喜首相秘書官を翌日に更迭した。珍しく迅速な判断だったが、身内の更迭にはためらいがあったようだ。
『週刊文春』で報じられた後、話し合って「厳重注意」で乗り切ろうとしたものの、野党だけでなく自民党内からも「翔太郎氏の行動は公私混同も甚だしい」と批判が噴出。G7サミットの成功で上昇するはずの内閣支持率も横ばいで、さすがにまずいとなったようだ。
何と言っても、天皇の認証を受けた国務大臣が記念撮影する公邸西階段での記念写真は目に余った。15年7月の『フライデー』に、当時の安倍晋三首相がプロデューサーの秋元康氏ら友人たちと西階段で撮った写真が載り「お友達の組閣ごっこか」と批判された。歴史的な場所であり「憲政の冒とく」といわれても仕方ない。
元をただせば岸田首相自身の公私混同が原因だろう。政治経験皆無の息子をいきなり年収約1200万円という国会議員なみの高級取りにした。夏の期末手当は252万円ともいわれるが、当人は「退職手当、期末手当などが支給されるなら一切返納したい」とか。当然だ。昨年10月になったばかりで退職金という言葉が出ること自体庶民感覚とは大きなズレがある。
福田康夫元首相の長男達夫氏は慶大法学部から商社勤務後、首相秘書官になり現在は衆院議員。よく似た経歴の翔太郎氏もいずれは国会議員という「家業」を継ぐのか。それなら、一からしっかり政治を勉強し直してほしいものだ。(今村忠)