サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏(75)がファームの実績に着目。きっかけは阪神・村上。プロならば、1軍も2軍も、選手もスタッフも、能力至上主義であるべきだという。(構成・内井義隆)
--村上は今季4勝1敗、防御率1・47。阪神首位の立役者の1人です
「2年間、ファームで好成績を残してから、1軍で活躍している。このプロセスに、思うところがあってね」
--ウエスタン・リーグで一昨年が最多勝、最優秀防御率、最高勝率。去年も防御率と勝率の2冠。1軍登板は一昨年の2試合だけでした
「エモトだけでなく、関西方面の解説者も『なぜ去年1軍で使われなかったんや』と首をひねっている。使っていれば勝てたろうから、優勝できたかも…ってか?」
--捕らぬ狸の(笑)
「まあ、それはともかく、だ。村上をみたら改めて、わかる。ファームとは、トレーニングで鍛えるのはもちろん、1軍で通用する選手を育てる場でもある」
--はい
「その判断基準の大きなものが、成績の良しあし。だからファームの実績を重視する必要がある、というわけだ」
--なるほど
「選手の側からしても、実績重視の方がスッキリする。昇格できるかどうかは、成績次第。来年もプロでやれるかどうかも、成績次第。そうなると、ここが痛い、あそこがかゆいなどと、言っていられなくなる」
--シビアな世界
「また、ハードルをクリアした選手に、お墨付きを与えるのはファームの監督とコーチの役目。そこを見極める能力も、問われることになる。そして、その一連を見るのが1軍の首脳陣」
--確かに
「プロである以上、1軍もファームも、選手もスタッフも、能力至上主義でなくては、いかんのだ」
--おっしゃる通り
「1軍で選手がいないからといって、2軍で駄目な選手を上げても意味はない。そんな状態のチームがあるとしたら、よ~く考えてほしいね」