NHKがインターネット配信できる番組の範囲を定める実施基準で認められていない不適切な設備費用約9億円を、2023年度予算に盛り込んでいたことが明らかになり、NHKの最高意思決定機関に当たる経営委員会の森下俊三委員長は30日、NHK執行部の予算に関する説明が不十分だったとして「極めて遺憾」と述べた。同委員会終了後に取材に応じた。
問題となっているのは、同時配信サービス「NHKプラス」にBS番組を加えるための予算で、前田晃伸前会長時代の昨年12月に設備の調達を稟議で決めていた。内外に十分な説明を行わないまま手続きを進めていたという。
NHKは「内部手続きが適切ではなかった」として、今月16日に経営委に報告。29日に総務省にも経緯を説明した。NHKは今後、弁護士などで構成する検討会を設置、意思決定のプロセスについて改革を進める方針。
NHKのネット事業を巡っては、総務省の有識者会議でテレビ放送などと同様の「本来業務」とするかどうかの議論が続いている。同会議は今夏にも議論をまとめる見通し。