「日本生命セ・パ交流戦2023」が30日に開幕する。セ・リーグ5位で10連敗中(1分け挟む)のヤクルトは29日、日本ハム戦(エスコン)に備えて広島から北海道へ移動した。昨季の交流戦MVPの村上宗隆内野手(23)はパ球団との戦いを前に「切り替えやすさもある」と強調した。
【記者の目】 開幕前、ヤクルトがシーズン前半に自力優勝消滅になるとは、誰も想像しなかっただろう。要因は一つではないが、村上の不調はやはり大きい。昨季は三冠王に輝いただけに打率・217、9本塁打、27打点は納得のいく数字ではないはずだ。
打撃フォームのわずかなズレが大きな差となって表れるが、それを一番理解しているのが村上自身だ。神宮球場のクラブハウスのロッカーでは毎日のように映像でフォームを確認し、練習で修正することを繰り返す。4番打者としての責任を放棄せず、真正面から向き合っている。チーム関係者は「調子がいいときは練習で逆方向に鋭い打球が飛んでいる」と明かすように、最近は練習で左方向へのスタンドインが増えてきた。完全復調の時期は遠くない。
重要なのは一人一人の「凡事徹底」。村上が本調子ではないからといって、全員が代わりを務める必要はない。出塁を期待される人もいれば、つなぎの役割を求められる人もいる。「自分のやるべきこと」を再度徹底するしかない。塩見が下半身のコンディション不良で離脱し、山田も状態が万全ではない中ではなおさらで、連敗が続こうが借金が増えようが、背伸びは禁物だ。
10連敗中は全て3点差以内。歯車がわずかに狂っているだけ。昨年の好調時と比べ、凡退してベンチに戻り、下を向いてしまう選手が多い。精神論ではないが、一つのきっかけで状況は好転するだけに、声出しや全力疾走などやれることを淡々とこなした先に光は差す。(ヤクルト担当・赤尾裕希)