「H」のエンブレムがブリティッシュグリーンの車体に刻まれる。ホンダが自動車レース最高峰のF1シリーズに2026年から復帰することを発表した。英アストン・マーチンにエンジンを中心とするパワーユニット(PU)を供給する。
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(オランダ)が10勝を挙げ、ドライバー部門で総合優勝を果たした21年シーズン限りで表舞台から姿を消したが、F1との関係を維持して再挑戦に備えてきた。
昨季から傘下のホンダ・レーシング(HRC)を通じ、レッドブルのパワーユニット(PU)製造会社「RBPT(レッドブル・パワートレインズ)」へPU製造、運用などの技術支援を行っており、新レギュレーション策定の議論にも参画。今年2月には新ルール下でのPU製造者として承認されていた。
過ちは繰り返さなかった。00年からスタートした「第3期」の活動は、リーマン・ショックの影響で経営環境が悪化し、08年に活動を終了。チームを売却し、一切の開発から手を引いた。15年にマクラーレンとタッグを組み再参入したが、環境は激変。前年から導入されたハイブリッドシステムの技術開発で出遅れ、低迷が続いた。三部敏宏社長が「ゼロからのスタートではない」と強調したのもうなずける。
〝暗黒〟のマクラーレン時代、ホンダに対し辛辣なコメントを連発していたのが現在、アストン・マーチンをけん引する元総合王者フェルナンド・アロンソ(スペイン)だった。2015年の日本グランプリ(GP)、チームへの無線で「これではGP2(F1の1つ下のカテゴリー)のエンジンだ」と絶叫。ホンダのお膝元で国際映像を通して世界に流れた抗議の叫びが注目された。