阪神・才木浩人は八回途中まで熱投し、巨人打線を1点に抑えた=甲子園球場(撮影・沢野貴信) (セ・リーグ、阪神4-1巨人、8回戦、阪神6勝2敗、28日、甲子園)阪神・才木浩人投手(24)が自己最長の7回⅔を投げ、3安打10奪三振1失点。交流戦前最後の一戦で連勝の波を加速させ、最高の週末を届けてくれた。
「全体的に良かったんじゃないかなと思います。テンポよく、しっかりと3人で切る場面も多かった」
力十分の直球にキレキレのフォークを織り交ぜる〝らしさ全開〟の投球で、五回までは5者連続を含めて毎回の9奪三振。巨人打線を機能不全にした。1―0の七回先頭で秋広に内角スライダーを右翼席に運ばれ、同点ソロとされたが、「あれを打たれたら、しようがない」とスパッと切り替え。後続を3人斬りしたことが直後の勝ち越し劇につながった。
昨季に右肘のトミー・ジョン手術から復活。投げられる喜びを感じながら日々を過ごしている。この春は兵庫・須磨翔風高の先輩が復活を遂げた。国指定の難病「黄色靭帯骨化症」の診断を受けていた中日・福(在学時は神戸西高)だ。
リハビリ中や手術後にアドバイスをもらい、復帰登板後には祝福メッセージが届いた。「気にしてくださっているんだなというのを感じた」と感謝の思いは強い。「練習もすごくされる。絶対に戻ってこられる方だと思う」。そう願い続け、先輩は今月、1軍マウンドに帰ってきた。同じセ・リーグ球団に身を置き、「勝負する間柄の中で、お互い1軍で戦いたい」―。交流戦明けにはその機も巡ってくるはずだ。
プロ入り後初めて八回を任されるも、2死を取って術後最多の122球。ここで交代となり、悔しさを表に出したが、ベンチに引き揚げる才木をファンは万雷の拍手でねぎらった。岡田監督も「3アウトでベンチ帰るよりも、あの形の方がみんな見てくれるで。しっかりと見てくれてるよ」と独特の表現でたたえた。
「交流戦でもこういう投球をして、チームが勝てるように。1点とか2点とかずっと取られ続けているので、7回無失点とか、いくんだったら9回無失点の投球ができるように頑張りたい」
体力に余力はあり、球数少なく八回を投げ終えられていれば九回の続投も志願する予定だった。かなわなかった目標を果たしたとき、また一つ頼もしくなる。(須藤佳裕)