七回、2点適時二塁打を放つ阪神・大山悠輔=甲子園球場(撮影・渡辺大樹) (セ・リーグ、阪神4-1巨人、8回戦、阪神6勝2敗、28日、甲子園)阪神は4-1で巨人に勝利し、今季初の8連勝。岡田野球の象徴といえる不動の「4番・一塁」大山悠輔内野手(28)が七回にとどめの2点二塁打を放ち、5年ぶりに甲子園で巨人に3タテを食らわせた。セ首位チームとして貯金17を持って30日からのセ・パ交流戦へ臨む。パ・リーグ球団よ、震えて眠れ。
岡田虎の進撃が止まらない。巨人に3タテを食らわせ、8連勝で貯金を17に増やした。交流戦前のラストゲーム。勝利を決定づける2点二塁打を放った大山にも自信がみなぎる。
「1点勝ち越しで(打席が)回ってこれたので余裕もできましたし、シェル(ノイジー)に感謝してます。才木がほんとに頑張って投げてくれていたので、なんとか才木のためにもと思った」
無失点投球を続けていた才木が七回、秋広に同点弾を浴びた直後。敵失もからんで1死満塁とすると、代わったばかりの三上からノイジーが中前勝ち越し打を放つ。さらに追加点がほしい場面で4番の登場だ。初球の内角高めの直球をフルスイングし、強い打球は左翼線へ。「打席に入る前にいろんなシチュエーションを準備しました。それがしっかり一発で仕留められた結果だと思う」と胸を張った。
プロ2試合目の先発だった巨人・松井にてこずり、四回のミエセスの先制ソロのみだったが、この巨人3連戦はすべて終盤の七回に決着をつけた。両軍が球団創設時の1936年の復刻ユニホームを着用した伝統の一戦は〝大阪タイガース〟の圧勝だった。
大山も開幕から順風満帆ではなかったが、指揮官の方針は揺るがない。不振の佐藤輝やノイジーをスタメンから外したことはあったが、大山だけは「4番・一塁」を外すことはなかった。打率・303、5本塁打で、29打点はリーグ3位。岡田監督が評価しているのはリーグ3位の27四球を選んでいることだ。
「大山はボール球に手を出さず我慢して、きっちりと見極めていた。チームにとっては四球も安打も同じ。いや、相手投手にとってはそっちのほうがダメージは大きい」と4番打者の貢献を称賛。甲子園のナイターのときも午前中から室内で打ち込んでいるとコーチから報告を受けており、野球に対する姿勢も虎将が信頼を寄せる理由だ。
5月は18勝4敗と白星を重ね、2位DeNAとは6ゲーム差。岡田監督は「出来過ぎ、出来過ぎですよ」と笑いつつ、「先発も頑張る。打線もうまく点が取れる。うまくかみ合っている結果」とうなずく。いよいよ30日から舞台はパ・リーグ球団相手の交流戦へ。2年ぶりにセ首位チームとして臨むが、「自分たちの、きっちりとした野球をやっていけばいい」と手応え十分だ。初戦はパ5位の西武(ベルーナ)が相手。主砲の大山にも油断はない。
「全員が一つになってできている。勢いは大事だと思うけど、気を引き締めるところはしっかり引き締めてやっていく」。笑うのは秋。チーム一丸となってアレをつかみ取る。(三木建次)
■データBOX
◉…阪神の8連勝は2021年4月9-20日(8連勝)以来。
◉…阪神は31勝14敗1分けの貯金17で交流戦に臨む。これまで交流戦に貯金17以上で臨んだチームは2016年のソフトバンク(貯金18、同年2位)、17年の楽天(貯金18、同年3位)の2度。セ・リーグでは21年の阪神(同年2位)の貯金16を上回る最多記録。
◉…阪神は今月18勝目(4敗)。阪神の月間18勝以上は2014年4月(18勝8敗)以来5度目。球団最多は19勝で、1964年8月(7敗3分け)と68年8月(2敗)の2度。残り2試合を全勝なら更新できる。プロ野球最多はソフトバンクが2020年10月に挙げた22勝(4敗1分け)。
◉…阪神は今季5度目の同一カード3連勝。巨人相手では昨年8月19-21日(東京ドーム)以来で、本拠地・甲子園では2018年5月25-27日以来5年ぶり。