(セ・リーグ、阪神2ー1巨人、6回戦、阪神4勝2敗、26日、甲子園)オウオウ、強すぎる~! 阪神は「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」として、1936年の大阪タイガースのユニホームを着用した一戦で今季2度目の6連勝、貯金は最多の15とし、2位DeNAとは最大5ゲーム差となった。1点を追う七回にドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が同点打。ミスタータイガースの系譜を継ぐ!
偉大な先人たちの思いを引き継いで、背番号1がバットを振り抜いた。森下が放った打球は、鋭く三遊間を破る。スコアボードに会心の「1」を刻み、今季最多4万2615人を詰め込んだ甲子園が揺れた。87年前から続く激闘の歴史に、光り輝く白星を加える同点打。6連勝に貢献した。
「絶対決めるという、強い気持ちで打席に立ちました! 打点にこだわりを持っているので、ああいうところで1本出てよかったです」
0―1の七回にドラマを巻き起こした。1死から大山が死球で出塁し、佐藤輝が左前打で一、二塁と好機を拡大。ここで森下に回ってきた。「大山さんと輝さんは絶対的に警戒されるバッター。やっぱり、6、7、8(番)が打てないと点に絡まない」。ここまで2度の凡退を反省しながら、武者震いしていた。
巨人の2番手、オリックスからトレードで加入したばかりの鈴木康の初球、スライダーを狙っていた。サヨナラ打を放った20日の広島戦(甲子園)と同じ初球打ちという強心臓ぶりを見せつけた。試合を振り出しに戻し、木浪の勝ち越し犠飛を演出。2位DeNAとは今季最大5ゲーム差と独走状態に入ってきた。
「こういう特別なユニホームを着てやれることがすごく光栄ですし、このユニホームを着て、自分も心を入れ替えて野球に取り組める」
森下が胸元のロゴを見つめながら、特別な思いを寄せた。「伝統の一戦シリーズ」として1936年の復刻ユニホームを着用。「伝統の一戦」はここから始まった。大阪タイガースとして日本プロ野球最初のシーズンに臨み、12月に迎えた巨人と3試合の優勝決定戦。「洲崎決戦」として語られるこの3連戦で、初代ミスタータイガースの藤村富美男や景浦将が躍動。しかし、3連投した巨人・沢村栄治らの前に1勝2敗で苦杯をなめた。まだ「職業野球」の形すら曖昧だった黎明期に産声をあげたTGの死闘は現代まで脈々と受け継がれ、刻んだ勝負の一戦一戦が伝統になった。