1959年6月25日、天覧試合でサヨナラ本塁打を放つ巨人・長嶋茂雄 過去にサンケイスポーツ(大阪版)で連載された、球史の中で輝いた男たちを取り上げる「プロ野球三国志 時代を生きた男たち」をサンスポ公式サイトで再録。今回は2014年1月10-22日に掲載された鎌田実氏だ。バックトスで一時代を築いた阪神の名内野手。吉田義男との「二遊間コンビ」は、虎史上最強と語り継がれている伝説の二塁手の、波瀾万丈の野球人生を振り返る。
鎌田に、プロ野球生活16年間で一番印象に残っている試合は―と質問すると、間髪入れずに「天覧試合やな」という答えが返ってきた。
1959年6月25日、後楽園球場で行われた巨人戦だ。鎌田はプロ3年目、20歳だった。昭和天皇皇后両陛下が初めてプロ野球を観戦される大イベント。当日の後楽園は鳴り物の応援が禁止され、いつもと違う静けさに包まれていたという。
「あの時ほど緊張した試合はなかった」
4―4の九回裏、長嶋茂雄が左翼席中段へサヨナラ本塁打。スキップしながらダイヤモンドを一周する光景はあまりにも有名だ。一方、長嶋に被弾し、悲劇のヒーローになったのは村山実だった。