阪神・中野拓夢の9犠打は5月26日現在、12球団トップ 打つ、走る、守る、だけではない。確実に送ることができるようになった万能型の2番打者が、絶好調の虎打線を支えている。阪神・中野拓夢内野手(26)は5月26日現在で両リーグ通じてトップの9犠打をマークし、成功率も100%。135試合の出場で19個を成功させた昨季に比べ、猛烈なハイペースで犠打を決めている。
「今年はずっと2番を打たせていただいて、ある程度自分で役割も分かってきた。そのあたり(犠打)の大事さはこの2年間で改めて感じたので、しっかり決めれるように準備したい」
開幕から見事に「2番・二塁」に定着。1試合で「3番・二塁」に入ったが、岡田監督のもと打順、守備位置が固定されたことで、やるべき仕事がこれまで以上に明確になり、自分の役割を理解して試合に臨むことができているという。
阪神・中野拓夢は2番打者として進化中顕著に表れているのが犠打数だ。昨季は26度試み、成功率・731(19個)だった。決して低い数字ではないが「これまでの2年間は、バントをするケースが多いなかで失敗するシーンも多かった。それで自分の打率を落としてしまった部分もあった」と振り返る。成功は、チームのためであり自分のためでもある。「決まる、決まらないではその後の打席の気持ちも違う。自分でリズムよくするためにもバントはしっかり決めないといけない」と、心理面の影響も率直に明かした。
今季はここまでバント失敗はゼロ。中野なりの試行錯誤で確実性を向上させてきた。「左足を少し(後ろに)引くような形で少し楽に構えるようにしてから、(体が)固まってバントをすることがなくなった。少しスタンスを変えたことが要因かな」と手応えをにじませる。
シーズンが後半に差しかかっていくにつれ、重要な局面での犠打の機会は増えていくはず。中野は満足せず、さらなる技術向上を目指していく。
「まだ(シーズンの)最初の方なので。ここからどんどん(バントを)決めていけるようにやっていければ」
過去2年はいずれも打率2割7分台だったが、ここまでは安定して3割以上をキープ。盗塁数も近本、佐藤輝らと並びリーグトップの「5」だ。今季からコンバートされた二塁の守備でも安定感が光る。猛虎の止まらない快進撃は、成長著しい中野によって導かれている。(織原祥平)