4年ぶりの神田祭。5月14日に神田明神で神輿宮入が行われ、多くの観客が詰めかけた ■5月27日 新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行後も、外出時はマスクを持参。不特定多数の人に囲まれる電車内では必ず着用する。ただ、今月14日だけはマスクなしで人波にもまれて街中を練り歩いた。「江戸三大祭」の一つである神田祭。その2年に1度の一大行事である神輿宮入(みこしみやいり)に参加したのだ。
氏子の知人に頼んだのは4年前。ところがコロナで世界は一変し、約束した2年後の祭りは中止に。4年ぶりの神田祭でようやくみこしを担げた。お邪魔した神田東紺町会はマスク着用を個々の意思に任せたが誰一人着けていない。小欄もそれにならった。
神田明神の境内に入ると担ぎ手は笑みを絶やさない。いつもより2倍の時間を待たされたぶん、いつもの数倍の喜びとうれしさを携えて担いでいる。氏子にとってこの4年間はずっと「ケ」だったのだろう。宮入は4年ぶりに訪れた「ハレ」。みんなの笑顔がそれを示していた。
両国国技館にも笑顔の花がたくさん咲いていた。見たところ観客の8~9割がマスクを外して大相撲夏場所を観戦。ひいきの力士に大きな声援を送っていた。「ハレ」は祭りだけではない。スポーツ観戦も「ハレ」なのだ。28日に行われる競馬の祭典・日本ダービーでも、マスクを外した大観衆が大きな声援を送ることだろう。
3年前の当欄にこうつづった。「応援するファンがいてこそ完成される。競馬だけではない。大相撲も野球もサッカーもしかり。それがスポーツなのだ。全てのスポーツに、一日でも早くファンの歓声が戻ることを切に願う」。コロナと上手に付き合えば、われわれは「ハレの日」を取り戻せる。それを実感した2週間だった。(鈴木学)