DeNA・バウアー=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄) (セ・リーグ、DeNA3x-2広島、6回戦、DeNA4勝2敗、4日、横浜)DeNAがセ・リーグの首位を走っている。まだ30試合に満たないとはいえ、開幕戦から4連敗したチームが〝開幕ダッシュ〟とは、私を含めて誰も予想しなかったのではないだろうか。
3日の広島戦(横浜)では、12球団の新外国人選手で最も楽しみにしていたバウアーが来日初登板し、白星を挙げた。ブランクがありながら、98球で7回を投げ切ったのはさすがだ。プライベートの問題で1年以上を棒に振った投手に、球団がよく目をつけたと思う。
球種が豊富だから、登板時に調子がいい球種を選んで投球を組み立てることができる。ダルビッシュ(パドレス)のようなタイプで、3日は力のある真っすぐに加え、カーブとチェンジアップが効果的だった。
メジャー通算83勝右腕は、動作解析を採り入れたトレーニングで注目を集める米シアトルの「ドライブライン・ベースボール」をメジャーに広めた存在。球の角度、回転数などの向上を科学的に追求して投球に生かす〝ピッチングオタク〟で、これもダルビッシュと同じだ。
バウアーがサイ・ヤング賞投手の実力を示したことで、DeNAの先発投手陣はさらに層が厚くなった。中継ぎ陣は、私の法大の後輩である三嶋が難病を克服して復帰。エスコバーがやや精彩を欠くものの、入江と伊勢は健在で、昨季途中に楽天からトレードで加入した森原の存在も大きい。抑えの山崎を含め、安定感はリーグ一だ。
打線は1番・佐野が、はまっている。足でかき回すイメージからはますます遠ざかったが、このチームに細かいプレーを求める必要はないということ。打って打って打ちまくる〝お祭り打線〟でいいのだろう。
私は開幕前の順位予想で、Bクラスの4位にした。投打ともに力のある選手がそろっているのは認めても、走塁ミスや送りバントの失敗など、チームの勢いに水を差すプロらしからぬプレーをたくさん見せられてきた。
今季も凡ミスが姿を消したわけではないが、現時点ではこれといったウイークポイントが見当たらない。横浜スタジアムを埋めるファンの熱い声援を受けて、どんなシーズンを送るのか注目したい。(サンケイスポーツ専属評論家)