近畿日本ツーリストは12日、大阪府東大阪市から委託された新型コロナウイルスワクチン接種のコールセンター事業で、東大阪市に対し約2億8900万円を過大に請求していたと発表した。西日本支社関西法人MICE支店の担当社員が市指定のオペレーター席数より少なく再委託先「マケレボ」(大阪市)に発注し、支店長は発覚を免れようと同社に勤務実績を改ざんさせていた。 東大阪市は過大請求分の返還を求めた上で、市の発注事業に関する入札参加資格停止などを視野に対応を検討する。
近畿日本ツーリストによると、2021年3月~22年12月、担当社員が本来必要とされる席数に対し14%程度少なくマケレボに発注。支店長は22年3月に過大請求を把握したが、黙認した。
今年2月、人材派遣大手パソナが同様の業務で自治体に過大請求していたことが報道され、東大阪市はオペレーターの出勤簿などを確認するよう近畿日本ツーリストに要請。支店長はマケレボに勤務実績の改ざんを依頼し、虚偽の報告書を提出した。
3月下旬に市に匿名の通報があり、不正が分かった。社の聞き取り調査に担当社員は「人件費を削減して利益を上げたかった」と動機を説明。支店長は「怖くなり自分で収めるしかないと思った」と話しているという。