走者のいなかった六回、中田は豪快に振り抜いて2試合連続でアーチ。涌井を攻略した(撮影・福島範和) 巨人は1日、中日2回戦(東京ドーム)に2-0で勝ち、今季初勝利を飾った。中田翔内野手(33)が2試合連発となる2号ソロを含む2打点をマーク。3打点だった前夜の開幕戦に続いてチームの全打点を挙げ、勝利に貢献した。先発したフォスター・グリフィン投手(27)=前ブルージェイズ=は、7回3安打無失点で来日初登板を勝利で飾った。
6回 左本塁打を放つ巨人・中田翔=東京ドーム(撮影・斎藤浩一)走り出す必要はない。打った瞬間に本塁打を確信し、貫禄十分に行方を見送るほど豪快な打球だった。2試合連発となる2号ソロを放った中田翔は今季初勝利を呼び込む一打を自画自賛した。
「久々に気持ち良かった。完璧に捉えることができた」
一回に先制の中前打を放ち、1点リードで迎えた六回1死の第3打席。かつてパ・リーグでしのぎを削った涌井が真ん中付近に投じた147キロの直球を逃さず、オレンジ色に染まった左中間席中段にたたき込んだ。
「涌井さんには結構やられていた。やり返したい気持ちだった」。球速以上の体感速度があるという右腕の直球対策として、スイングの始動を早めて鮮やかに仕留めた。
3打点だった前夜の開幕戦に続き、チームの全得点を挙げた。ツイッター上では「読売巨人軍」をもじり、「中田個人軍」という言葉が飛び交うほどの奮闘ぶり。それでも当の本人は「勝ちにいくだけ。たかが始まって2試合なので」と冷静沈着だ。
バットを短く握って軽打したかと思えば、持ち前の強打で一発も放つ。昨季確立した柔軟な形を進化させようと、球を引き付けて内側をたたく「縦振り」を磨き、確実性の向上を求めてきた。オフにはピンポン球を打つ練習も実践。原監督は「非常に高度な打撃。粘り強くやったところに結果が出ている」とたたえた。
この日は守護神の大勢がコンディション不良でベンチ入りメンバーから外れた。「やっぱり大勢がいないのは大きい。その中で、みんなでカバーし合えればいい」と中田翔。頼もしき大砲が、どっしりと中軸に座る。(鈴木智紘)