一回、森下は適時内野安打を放ち、公式戦で初めてHランプをともした(撮影・安部光翁) (セ・リーグ、阪神6xー5DeNA=延長十二回、2回戦、阪神2勝、1日、京セラ)フルスイングした森下の当たりが三遊間で跳ねる。三塁手・宮崎が差し出したグラブは白球をわずかにつかめない。Hランプがともる。プロ初安打は打点のおまけつき。森下は祈りを込めて一塁へと全力疾走していた。
「『抜けてくれれば最高』と思って。グラブに当たって、いいところに飛んでくれたので、結果的によかった。ほっとしているのが、素直な気持ちです」
4点を追いかける一回の攻撃。ノイジーと大山の適時打で2点を返し、なお1死一、二塁で打席を迎えた。プロ4打席目。ガゼルマンの151キロツーシームを迷いなく引っ張った。二走・大山が生還して、この回3点目。劇的な延長十二回サヨナラ勝利を演出した。
5-5で延長に入り、十回の打席では四球を選び、ガッツポーズ。スタジアムに響き渡る声でほえた。勝利への執念を見せ、ここで代走を送られお役御免。「成績より、チームのために徹したい」。ベンチで見守った激勝に顔を真っ赤にして喜んだ。開幕2連勝の結果に加え、ともに1軍戦力として戦うD6位・富田のプロ初登板勝利もうれしかった。
「まさか勝ち投手になっているとは思ってなかった。同期としてすごくうれしいのと、自分も負けてらんないな、と」
2月中旬から1軍キャンプに帯同し、活躍を重ねて開幕1軍入りを果たしたコンビだ。森下は1歳下の富田を「トミ」と呼び、オフの日は2人で梅田や難波まで出かけて買い物を楽しみ、寮に帰れば一緒にアクションゲーム。グラウンドの外でも絆を強める左腕が白星をつかんでヒーローインタビューを受ける姿に、対抗心も燃やしていた。