WBCの歓喜の余韻が残る中、プロ野球のレギュラーシーズンが開幕した。今季は声出し応援が可能になり、コロナ下で設けられた制限は、ほぼなくなった。より熱いシーズンになりそうだ。
日本代表の選手や関係者は期間中、SNSで情報を発信してくれた。触発された私はブログとツイッターに加え、新たにインスタグラム(@takehikokobayakawa)を始めた。
世界一に輝いた選手たちだから、レギュラーシーズンに向けて何も心配がない、といえば噓になる。まず、メンタル面。いわゆる「燃え尽き症候群」といわれるもので、以前に世界陸上やサッカーW杯に出場した選手に聞いたところでは、こればかりはどうしようもないらしい。何とか気持ちを奮い立たせよう、切り替えようと思っても、自分でコントロールするのは難しいという。
もう一つは体調面。レギュラーの野手、試合である程度投げた投手は大丈夫だろう。不安があるとすれば、控えで例年より打席数、投球数が不足している選手。しかし、彼らがそれを言い訳にすることは絶対にない。何事にも代えがたい経験ができたからだ。大変な思いをして勝ち取った世界一。「終わり良ければ全て良し」となるように、レギュラーシーズンも最後まで頑張ってほしい。
WBC戦士以外に注目しているのは、やはり新人や新外国人選手だ。中でも阪神のドラフト1位・森下(中大)は間違いなく即戦力だろう。打撃は思い切りが良く、長打力がある。自分の間合いで投手に向き合えて、しかもタイミングの取り方がうまいので、相手は制球ミスを恐れて窮屈な投球になっている。最初は気楽に6、7番を打たせた方がいいが、中軸が不振に陥ったらクリーンアップも十分に務まる。
今大会の盛り上がりを見れば、誰もが2026年の次回大会は出場したいと思ったはずだ。投手は今大会の宇田川(オリックス)のように、支配下登録から1年たたずに代表入りということがある。3年は案外早いもので、野手はその間の実績の積み重ねが大事。新たな目標ができて、一層力が入ったプレーを見せてくれることを期待している。(サンケイスポーツ専属評論家)