ロシア連邦保安局(FSB)は30日、ロシア中部エカテリンブルクで米紙ウォールストリート・ジャーナルの米国籍の男性記者をスパイ容疑で拘束し、違法行為を阻止したと発表した。AP通信によると、冷戦終結後、米メディアの記者がロシアで拘束されるのは初めて。ロシアのウクライナ侵攻を巡り、米ロ関係は悪化している。
拘束されたのは、モスクワ支局でロシアやウクライナを担当するエバン・ゲルシコビッチ記者。ロシア外務省が発行する記者証を所持していた。同紙は記者への容疑を「断固として否定」し、即時解放を求める声明を発表した。
FSBは発表で、記者が米国側の指示でロシアの軍産複合体に関する機密情報を入手しようとしていたと主張し、捜査を開始したとしている。モスクワの裁判所は30日、記者の逮捕と5月29日までの勾留を認めた。
ロシア独立系メディアによると、記者はロシア民間軍事会社ワグネルの戦闘員募集や、ロシア国民のウクライナ侵攻への受け止めを取材するために、エカテリンブルクを訪れていた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は30日「疑惑ではなく、現行犯で拘束された」と説明し、米国の対抗措置が「ないことを望む」と述べた。(共同)