■3月30日 季節外れのニュースだったが、日本中央競馬会(JRA)の夏季競馬暑熱対策の短信には目を引かれた。来年から北海道を除き、7~8月は通常午前10時の第1レースの発走を9時半ごろに繰り上げ、第5レース終了後の11時半ごろから午後3時まで中断する。最終12レースは午後6時半ごろで、北海道以外で実施の方針という。
人馬双方の安全確保と、他のスポーツが酷暑時間帯を避ける昨今の情勢を踏まえたという。そういえばと思い出したのが高校野球だ。目下、甲子園ではセンバツが準々決勝まで進みベスト4が出そろったところで気が早いが、毎年決まって話題になる夏の大会の熱中症対策はどうなのか。
午前と午後の2試合ずつに分け、最も暑い時間帯に休止時間を設ける〝2部制〟は昨夏の高野連運営委員会で検討を始めると発表された。18年夏の京都大会では準々決勝でテストケースとして実施され、第4試合終了が午後10時半を過ぎた。インターバルを長くとるなら第1試合は従来の午前8時では遅いかもしれない。
さてどんな2部制になるのかと思っていたら、先月の運営委員会で今夏の導入は見送りになっていたとは気づかなかった。観客の入れ替えに課題があるという。世界は全く違うが、伝統を重んじる競馬でも画期的な暑熱対策を打ち出した。この手の改変は躊躇(ちゅうちょ)せず大胆にやらないことには、いつの間にか立ち消えになりかねない。
その代わり、今夏の甲子園大会から五回終了時の5分間のグラウンド整備を10分に拡大する「クーリングタイム」を設けるというが、暑い中で待つ観客にとって10分は長いだろう。気象庁の長期予報では今夏も猛暑のようだ。(今村忠)