歌舞伎俳優・中村児太郎氏はラグビーリーグワン東京ベイHOマルコム・マークス(左)にインタビューし、チームの強さに迫った(撮影・石井文敏) 東京・青山学院初等部から高等部まで楕円(だえん)球を追った歌舞伎俳優、中村児太郎(29)によるコラム「ラグビー魂 中村児太郎」(月1回掲載予定)第5回は、リーグワン1部で2位につける東京ベイに迫る。南アフリカ代表HOマルコム・マークス(28)とオーストラリア代表SOバーナード・フォーリー(33)にインタビューし、強さの理由を探った。(取材構成・石井文敏)
世界を代表する2人が、2位と好調な東京ベイを牽引(けんいん)しています。まずは2019年W杯日本大会で南アフリカを優勝に導いたHOマークス選手です。
私が「大事にしていることは何ですか」と質問すると、「チームのためにベストを尽くす。自分たちにフォーカスし、1%でもいいから各自で上げていけるかです」と答えてくれました。タックルやラインアウトのスローイングといったHOとして求められるプレーを確実に遂行する。それが1%の向上につながる。練習からどれだけできるか、という見方をしているのです。
試合では誰よりも体を張っている印象を受ける。「完璧は難しいスポーツ」と割り切り、大事なのは「ミスをしても切り替えられるか」と続きました。勝負どころで高精度のプレーを発揮するにはポジティブさというか、「次への準備」の気持ちを持ち合わせることも必要なのですね。
続いてSOフォーリー選手。話を聞くと、両WTBで24歳の根塚選手と23歳の木田選手ら、若手が台頭する理由が分かりました。
経験豊富な司令塔は自分の役割を理解し、「引っ張りたい。選手たちに教えることが大切」と話します。コミュニケーションの重要性を強調し、それはグラウンド外でも。英語を勉強したい選手がいるそうで、「英会話を教えている」と明かしてくれました。本人も日本語を勉強していて、取材中も「寒いね」「おおきに」と場を和めてくれました。
いろいろな国にルーツを持つ選手が集まる。文化も異なります。互いを知ることで、新たな発見もある。プレー面では連係や規律につながることだと思います。