オリックスとの2軍戦に出場した中野。明るい表情が目立った(撮影・沢野貴信) 大谷魂でセ界一だ! 阪神・中野拓夢内野手(26)が28日、サンケイスポーツの独占インタビューに応じた。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表として出場し、世界一。大谷翔平投手(28)=エンゼルス=のチームを鼓舞する姿に感銘を受けたことを明かした。世界を経験し、成長した男が、18年ぶりのリーグ優勝に向けて引っ張る!(聞き手・原田遼太郎)
--世界一おめでとうございます
「ありがとうございます。素晴らしい選手がたくさんいる中で野球ができて、感じるものであったり、吸収するものはとても多かったです」
--印象に残っていることは
「個人としては韓国戦(注1)ですね。感じたことのない緊張感というか。本当に吐き気がするくらい。『よし、いくぞ』といわれたときは顔が真っ青というくらい緊張していた。自分の野球人生の中で一番緊張したシーンだと思うので鮮明に覚えています」
--大谷をどう見ていた
「バッティング練習を見ていても、人間じゃないなっていうくらい打球が飛ぶのも見ました(笑)。いろいろと人にちょっかいをかけたり、意外な一面というのも自分の中で見られました。野球人としても人間としても素晴らしい方だなと感じました」
--チームを鼓舞する姿を見て
「球場全体を味方にするような、そういう雰囲気を持っている方。メキシコ戦で最終回の先頭で出たとき(注2)も、表に感情を出して『ついてこい』と。そこで一気にチームも『サヨナラ行けるぞ』という雰囲気になった。本当にすごいなと思いました」
--大谷から一番学んだことは
「雰囲気作りです。ベンチにいるときの雰囲気、ロッカールームでのリラックスした雰囲気。自分でもマネできるところかなと思います。後輩たちがやりやすいような環境づくり。先輩に対しても、大谷さんの場合は盛り上げようと、声をかけたりしていたので、そういうところをシーズン中、見習っていきたいなと思います」
--昨年は開幕9連敗
「どうにかしようとみんな思っていたんですけど、それがなかなかいい方向にいかなかった。でも、誰かが流れを変えなきゃいけなかった。それができなくてズルズルいってしまった。その経験、反省を生かして、チームの連敗が続いたときは、まずは雰囲気から、チームの雰囲気から変えていけるようにやっていければと思います」
--大谷の姿が生きてくる
「なかなかWBCの準決勝、決勝みたいに、負けたら終わりという状況は少ないですが、アレに向かっていくためには、1試合1試合を落とせないという、トーナメントを戦っているような気持ちも大事。これまで自分はあまり表に出すようなタイプではなかったんですけど、その経験を踏まえて変わっていければと思います」
--どういうシーズンにしたい
「個人としては(打率)3割というところを目標にやっていきたいです。チームとしては全員でアレに向かってやっていくだけだと思っているので、世界一になったように、今度はチームで日本一になって、タイガースのみんなとビールかけをできるように頑張りたいと思います」
(注1)13-4で大勝した3月10日のWBC1次リーグ・韓国戦(東京ドーム)。正遊撃手の源田が走塁中に右手小指を負傷(のちに骨折と判明)。四回の守備から中野が出場した。中野は三塁打を放ち、続く11日のチェコ戦は「8番・遊撃」で3四球1盗塁だった。
(注2)20日(日本時間21日)、米フロリダ州マイアミのローンデポ・パークで行われた準決勝・メキシコ戦。「3番・DH」で出場した大谷は1点を追う九回先頭で二塁打。ヘルメットを脱ぎながら一塁を蹴り、二塁上では雄たけび。日本の逆転サヨナラ勝利を呼び込んだ。中野は帰国後、オープン戦初出場となった26日のオリックス戦(京セラ)で左前打を放った後、ペッパーミル・パフォーマンスを披露するなど、陽キャラへの変身を心がけている。