広田神社を参拝した(前列左から)佐藤輝、湯浅、中野、近本ら。シーズン開幕の足音が聞こえる いよいよ春本番だ。阪神は早朝から、開幕直前の恒例行事となっている広田神社での必勝祈願を行った。虎番キャップのビヤ樽こと三木建次も原田遼太郎を連れて取材へ向かった。
「桜がきれいだったかって? きょうはバタバタしてたから、見る余裕もなかったわ。この前までの関東遠征でも東京が満開で、僕は10日以上も桜を見ている。今年の桜はおなかいっぱいや」
その後は鳴尾浜で行われたチームの練習へと慌ただしく移動し「お昼はコンビニで買ったメンチカツバーガーで済ませるしかなかった」という。なんともエネルギッシュな58歳だが、花より団子を地で行く人に桜のことを尋ねたこちらも間違っていたのかもしれない。
27日の投手指名練習も電撃視察していた岡田監督は、このままノンストップで31日のDeNAとの開幕戦(京セラ)へと突き進む。指揮官を追うキャップとしても、立ち止まって桜を眺めている余裕などないということなのだろう。春も、シーズンも、本番はもう始まっている。
夕方には、春らしくちょっぴり切なくなる「旅立ち」の知らせもあった。4月1日付で阪神球団が行う人事異動のリリースの中に、虎番記者や虎ソナにもなじみの深い人物の名前が含まれていた。広報部、営業部でらつ腕を振るってきた河内英人氏が「退団」するというのだ。
ギョッとしたが、よくよく聞くとグループ内の「六甲山観光株式会社」へ行くらしい。2013年の1月にチーム付き広報となり、遠征にも帯同してメディア対応に奔走していた。とにかくよく気づく、気遣いのできる青年で、各社の記者から慕われていた。たとえば、選手の自主トレ公開の場所が交通の便が悪い場所なら、報道陣の人数をパパッと数えて、引き揚げる時間ぴったりに必要な台数のタクシーを手配してくれたりもした。右も左も分からない新人選手には、メディア対応だけでなく、OBへあいさつへ行くようにそっと促したり、伝えるべきことを過不足なくキチッと伝えていた。