【ボクシング】村田諒太が現役引退「ボクシング人生をロングショットで見たなら、悔いはない」　五輪金＆世界王座　指導者より解説者などで経験を還元（1/2ページ）

プロボクシングの元ＷＢＡ世界ミドル級スーパー王者、村田諒太（３７）＝帝拳＝が２８日、東京都内で会見し、現役引退を表明した。２０１２年ロンドン五輪では金メダルを獲得。日本選手で初めてアマとプロの両方で頂点に立ち、世界的な激戦区の同級で足跡を残した。ＩＢＦ王者だったゲンナジー・ゴロフキン（４０）＝カザフスタン＝に９回ＴＫＯ負けした昨年４月の２団体王座統一戦がラストマッチとなった。

ムービーカメラ１３台など多くの報道陣や関係者が集まったホテルの一室に、試合の入場曲として使用していた映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマ曲が流れる。スーツ姿の村田が笑みを浮かべて登場した。

「本日をもってプロボクサー村田諒太は引退いたします。プロボクサーとしての生活を応援いただいた皆さま、本当にありがとうございます」

昨年４月にさいたまスーパーアリーナで２団体王座統一戦を闘い、ＩＢＦ王者だったゴロフキンに９回ＴＫＯ負け。「もともとゴロフキン戦が最後だと思っていた。決断には時間がかかったが、これ以上ボクシングに求めるもの、ボクシング界にできることが見つからなかった」と引退の経緯を説明した。

帝拳ジムの本田明彦会長（７５）によると、村田は肘と膝に慢性的な故障を抱えており、「最後の方は７割ぐらい」しか練習ができていなかったという。しかし、ゴロフキン戦後は敗れたにもかかわらず対戦オファーが絶えず、村田は「まだボクシングをしたいと思うこともあったし、悩むこともあった」と揺れた胸の内を明かした。それでも「ボクシング人生をロングショットで見たなら、悔いはない」と言い切った。

２０１２年ロンドン五輪同級で日本勢４８年ぶり２人目の金メダリストとなり、１３年４月にプロ転向。１７年と１９年にＷＢＡ世界同級王座を獲得した。五輪の金メダルと世界王座のベルトを両方手にしたのは、日本選手で初めて。ミドル級では竹原慎二以来２２年ぶりに日本から生まれた世界王者だった。世界的に層の厚い同級で活躍した功績が色あせることはない。