サンケイスポーツ専属評論家・江本孟紀氏(75)が視察先の米国アリゾナ州からスペシャル拡大リポート。メジャーのスプリングトレーニングで気付いたことや、国際的なニュースなど、収穫たっぷりだ。(構成・内井義隆)
--現地時間20日に米国入り。大谷(エンゼルス)、藤浪(アスレチックス)と精力的な取材、お疲れさまです
「この時期にメジャーを見るのは解説・評論業の一つ。コロナ禍のせいで、アリゾナ訪問は3年ぶりだよ」
--やっと解禁
「フェニックスの空港に着くと、以前なら手に取れたキャンプ情報、オープン戦日程、地図といったガイドの冊子が、ない。これもコロナの影響だね。ネットで検索しながら、レンタカーであちこち回っている」
--大変ですね
「21日にはアスレチックスの球場に入り、オープン戦を視察。そこでいきなり、週刊エモトでも取り上げた『ピッチクロック』に遭遇した」
--投手は走者なしの場合15秒以内、走者ありなら20秒以内に投げる。タイムオーバーするとボールを宣告される。メジャーの新ルールです
「ボール宣告でカウントが不利になったそのピッチャーは、投げ急いで、すぐに打たれた。さもありなん、だ」
--大谷、ダルビッシュ(パドレス)ら日本の投手にとっても気になるところですね
「アメリカで採用されたことには、右にならえの日本球界。ピッチクロックもやがては輸入されるだろう。そのとき、投げ急ぎは禁物。今から注意喚起しておこう」
--日本一早い警鐘で
「ただ、右にならえの割には、なるほどアメリカは…と感心する練習などは、なぜか取り入れない。例えば、だ」
--はい
「フリー打撃ではピッチングマシンを、右打者なら正面からやや一塁側に、左打者ならやや三塁側に設置する。内角に食い込む球に対処するため、投球の軌道を工夫しているわけだ」
--そういえば故野村克也さんから「バッターにとって最も恥ずかしいのは詰まらされることや」と聞きました
「守備練習でも二遊間のノックでは、わざとマウンドで弾ませて、打球に変化をつける。とにかく実戦的なんだよ」
--なるほど
「ま、エモトが言っても聞いてはもらえないだろう。ならば、このネタはどうかな?」
--なんでしょう
「2005年に、日本選手だけのサムライ・ベアーズを結成して、アメリカの独立リーグで西海岸を転戦した」
--江本さんは副コミッショナーで総監督
「当時のリーグの経営者が現在、アスレチックスの球団社長。再会を楽しみにしていたけど、ラスベガスに行きっぱなしで、会えなかった」
--ベガスで何を?
「近いうちにアスレチックスが、オークランドからラスベガスに移転するという。そんなニュースも仕入れつつ、開幕までに日本へ戻るよ」