1990年代後半に人気を集めたPHS=1998年3月、東京・渋谷 ソフトバンクは31日にPHSのサービス提供を終了する。通信大手が1995年にサービスを始め、若者らの支持を得て「ピッチ」の愛称で親しまれたが、携帯電話に押されて市場が縮小した。大手で唯一、サービスを続けてきたソフトバンクの撤退により、PHSは28年の歴史に幕を下ろす。
ソフトバンクは2021年1月末に一般の利用者が音声通話やメールをするためのサービスを終えている。その後も続けてきた自動販売機の売り上げ管理や、コインパーキングのクレジット決済に使用するサービスを今月末で終える。契約数は昨年末時点で約12万件。
PHSは携帯よりも月額基本料が安く、端末も小さかったため、90年代後半に高校生らの定番アイテムになった。最盛期の97年の契約数は約700万に達した。
だが、携帯の料金が下がり、「iモード」などのインターネット接続サービスが人気を集めたことで顧客が離れた。NTTドコモは08年に撤退した。
大手のサービスとは別に、PHSは電波が他の機器に干渉しにくいといった理由で医療機関などで内線として使われている。4月以降もこうしたケースは残る。