お立ち台の左から、広島・フェリシアーノ通訳、バティスタ、スラィリー=マツダスタジアム 〝鯉の穴〟が、コロナ禍の休止を経てついに再始動した。ドミニカ共和国にある育成組織、カープアカデミー。同国出身の「フェリさん」ことフアン・フェリシアーノ通訳(42)に現状を聞こうと直撃した。
「昨年の12月からアカデミーに選手が集まって、16人ぐらいで練習をやっています。コロナでみんないなくなったけど、少しずつ戻ってきていますね」
同アカデミーは2020年3月頃に新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉鎖していたが、昨年12月に再開。3年間の休止を経て、20人近くのメンバーが施設で練習や試合に明け暮れている。
フェリシアーノ氏は同アカデミー出身で、練習生を経て2004年から3シーズン、広島でプレーした。経験豊富で、通訳の他にアカデミーのコーチも兼任する。「(アカデミーに)エリクソン・バスケスという選手がいる。とにかくバットコントロールが良い。この春よかったら、日本に来るかもしれない」。6月頃にヘンディ・クレート通訳(39)と入れ替わってドミニカ共和国に帰国予定で、実際にバスケスのプレーをチェックした上で、来日の〝推薦状〟を出すか否か判断するつもりだ。
日本からおよそ1万3000キロ離れた同アカデミーは、1990年に開校した。2016~18年のセ・リーグ3連覇時にはアカデミー出身のサビエル・バティスタ外野手やヘロニモ・フランスア投手が存在感を発揮し、近年ではロベルト・コルニエル投手や巨人からロッテに移籍したクリストファー・メルセデス投手が奮闘している。
「ドミニカ共和国には面白い選手がたくさんいる。日本でプレーした経験をアドバイスしたい。目標はドミニカ共和国と日本の橋渡しをすること」
日本語と英語を交えて優しい表情で語るフェリさん。野球大国ドミニカ共和国の〝虎の穴〟ならぬ〝鯉の穴〟。かつての剛腕が、〝原石〟発掘に燃えている。(柏村翔)