登板後に取材対応をしている大谷を撮影する江本氏(撮影・水島啓輔) 大谷登場!!と身構えたところで客はいないし、報道陣もそれほどではない。なにせマイナーチーム相手の調整登板。ピッチング自体も力を入れていない。WBCで連発した豪速球はみせず、変化球ばかり。ホームランを打たれたのも、抜けた変化球だった。
その中でも、納得させられる部分は多かった。
まずこの時期、このレベルのピッチャーは普通、ストレートより、変化球がどれだけ仕上がっているかを確認するものだ。その意図に沿った調整ということで、心配することは何もない。
年々、大きくなっている体も、決してブヨブヨしていないし、ゴツゴツもしていない。その締まった体から発散されるのは、自信のかたまり!
いろいろな意味で、野球選手として絶頂期に入っているように映ったね。アリゾナまで来て、目の前で見るかいがあったというものよ。
エモトがアメリカに到着したのは現地時間20日夜。翌21日、こちらのテレビで日本とアメリカのWBC決勝を見た。大谷、ダルビッシュら、メジャーでも超一流の選手がいる。日本が優勝してもなんら不思議はない。
そういえば2006年の第1回WBCも、王貞治監督率いるジャパン優勝の瞬間は、アリゾナのトゥーソンにいたっけ。
そもそも、エモトがメジャーのスプリングトレーニングに関わるのは1980、81年、阪神のアリゾナキャンプから。現在はエンゼルスがキャンプ地にしている、ここテンピだった。つまり、大谷と同じ場所で投げたことがあるわけだ。WBC、エンゼルス、大谷と縁はつながっているよ。
それはともかく、長らくテレビしか見なかった大谷の今の姿をチェックしてみて、改めて思う。今年も間違いなく、やっていける、と。
そして、もうひとつ。大谷は開幕を迎える本拠地のカリフォルニア州に直に入るのではなく、アリゾナに戻ってきた。ダルビッシュもそう。まじめで律義。やっぱり日本人なんだなあ…と感じたよ。(本紙専属評論家)